“経験不足の医師”や“金儲け優先医師”が混在…利用者急増中「在宅医療」の驚くべき裏側とは

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“閉鎖空間”ゆえに……

 一般的に、外来や入院における医師の役割は「病気を治すこと」と解される。一方在宅医は、患者の特性上、病状だけでなく患者自身の価値観も尊重しながら、より良い最期を迎えるための支援が求められる機会が多いという。入院患者なら否応なしに禁じられるであろう酒やたばこも、「一概に禁止すればいいものではない」と佐々木氏は言う。

 しかし、

「開かれた場所で、常に比較される立場にある病院とは違い、在宅医療は自宅という閉ざされた空間で行われ、一度訪問診療が開始されてしまえば、他と比較のしようもない。ブラックボックス化しているために、健全とはいえないクリニックが散見されるのです」(同)

 在宅医療を利用する場合、直近までその患者を診ていた病院や、介護支援の専門員であるケアマネージャーからの「紹介」によって、特定の在宅クリニックにたどり着くことがほとんどだ。もちろん一般的な病院のように、最終的には「患者側が選ぶ」ことに変わりはないのだが、在宅クリニックに関する情報や評判はあまり出回っていない実状がある。それゆえ、比較材料に乏しいままに在宅主治医を決め、最後まで同じ医療機関を利用し続けるというケースが多いのだ。佐々木氏によれば、

「保険点数が高く設定されている上、医師免許さえあればほとんど誰でも開業することができる。正直、技量や経験が不足しているのに、“儲かるビジネス”として在宅クリニックを展開している人も少なくないと感じます」

在宅医の見極め方

 冒頭で紹介した遺族の声は、その現れといえる。

「一度診察を受けて合わないと思ったら、クリニックはいつでも替えられるのだと、多くの方に知ってほしいですね」(佐々木氏)

 では、我々はどのような基準で在宅医の良し悪しを見極めればいいのか。

「そのクリニックの専門性や設備の充実具合、『機能強化型』『緩和ケア充実診療所』に分類されているかどうか、自宅でのお看取りの実績がどれくらいあるか等、“スペック”も一つの判断基準であるのは確かです。しかし在宅医の良し悪しを分けるのは、もっと本質的な部分にある」(同)

「患者の話を聞いてくれない」「通常時の診察時間が短すぎる」「診療報酬を不正に請求している疑いがある」といった在宅医の実態と、その中で「良い在宅医を選ぶためのポイント」については、有料版の記事【「利益最優先」「技量不足」「話を聞かない」… 美談の裏は“落とし穴”だらけ 選んではいけない「在宅医療クリニック」7つの特徴】で詳報している。

デイリー新潮編集部

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