「半グレみたいな風貌のやつが家に来て…」 トクリュウも関与の「屋根点検詐欺」が激増! 「詐欺に引っかからなくても闇名簿を作られる」
「警察側からしてみれば、恥であり敗北」
【前後編の前編/後編を読む】「マンションも危ない」「空き巣が勝手口を狙う理由は…」 “だまされる方が悪い”時代に強盗から身を守る方法
「屋根が壊れています」。怪しげな人物が一軒家の住人に声をかける事例が増えている。古典的なリフォーム詐欺の一種だが、それが凶悪犯罪の呼び水になることもあるから要注意。「トクリュウ」の実態から、詐欺や強盗に遭わない方法まで――今知っておくべき全情報。
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11月28日から始まった臨時国会。多くの国民が注目しているのは、いわゆる「103万円の壁」見直しや「政治とカネ」を巡る問題の行く末だろう。しかし、さる警察関係者は、石破茂首相が所信表明演説で次のように述べたことに強い危機感を覚えたという。
〈最近、いわゆる「闇バイト」による強盗・詐欺の報道を見ない日はありません。(中略)悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層推進してまいります〉
「石破さんが演説の中で匿名・流動型犯罪グループ、通称トクリュウに触れたので驚きました。首相がわざわざ言及するのは、彼らが引き起こす犯罪を警察の力だけでは抑えつけることができず、国家的な問題になっているからです。警察側からしてみればこれは大きな恥であり、敗北なのです」(警察関係者)
どういう人間がトクリュウの中核なのか
トクリュウ。最近、新聞やテレビでよく見かけるようになったこの言葉の意味をきちんと理解しているという方は少ないのではないか。事件ごとに実行役らが入れ替わる。犯行の指示に「シグナル」などの秘匿性の高い通信アプリが使われることが多いため、事件の首謀者を摘発するのが難しい。SNSなどで「闇バイト」と称して集められる実行役は駒として使い捨てにされる――こうした特徴があるといわれるが、いまひとつ犯罪グループとしての“顔”が見えにくいのだ。
「トクリュウには、暴力団のようなピラミッド型の組織もないし、名称もありません。そのため、全体像をイメージしづらいのです」
と、警察庁関係者は言う。
「では、どういう人間がトクリュウの中核的人物になっているのかというと、現在30代から40代くらいで、少し前なら暴力団に入っていたであろう地元の不良や暴走族上がり。今はヤクザになってもメシが食えないので、いわゆるカタギのままでSNSなどを駆使して強盗や特殊詐欺などを生業にしている。また、他のワル仲間とも緩やかに結び付いています」
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