「石丸陣営に惨敗するのを恐れて…」 “大胆人事”に踏み切った「小池都知事」が企んでいること

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 来夏に東京都議選を控えて、小池百合子都知事が踏み切った大胆人事が話題だ。

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「一つはDX全般やデジタル人材の育成などを担う東京都の外郭団体『GovTech(ガブテック)東京』のアドバイザーに、AIエンジニアの安野貴博氏を充てたこと。もう一つは、安倍晋三内閣で首相秘書官や補佐官を務めた、元経産官僚の今井尚哉氏の参与への起用です」

 と言うのは都の幹部職員。

「行政のデジタル化は、都にとって喫緊の課題。安野氏は先の都知事選で戦った相手ですが、以前から知事は彼の深い知見と高い能力を買っていたのです」

 今井氏については、

「経産省出身者らしく生粋の原発推進論者。来るべき脱炭素社会の実現に向けたエネルギー政策に関し、知事はさまざまな助言を請う意向とされています」

“大胆人事”の本当の理由

 もっともらしい動機に聞こえるが、これは表向きの理由だという。都知事に近い都民ファーストの会関係者がそっと明かす。

「先の知事選で小池氏の291万票に次ぐ165万票を獲得し、次点に食い込んだ石丸伸二氏はSNSを駆使したIT選挙で結果を残しました。その石丸氏が安野氏を高く評価しているんです。二人の親和性は高いとされ、今月10日、発足したばかりの政治団体『彩生の時』の旗上げの会に出席した石丸さんが、安野さんと連携すれば、次期都議選における話題性は突出します」

 それこそが、都民ファの特別顧問を務める小池氏が恐れる由々しき事態で、

「例えば、石丸新党が擁立した候補の応援に二人が並んだら、都民ファ候補は惨敗必至。そこで都知事は、彼らが連携する前に安野さんの取り込みに動いたのです」

 安倍元首相の“懐刀”と呼ばれた今井氏の登用を都政関係者が解説する。

「脱炭素やエネルギー政策とは関係なく、単なる都議会自民党対策に過ぎません。自民党都連や都議会自民党には、旧安倍派に連なる議員が多い。安倍元首相シンパともいえますが、多くは平成28年に小池氏が都知事に初当選した後、彼女が自分らを猛烈に批判したことを覚えている。そんな潜在的な不満分子の彼らをグリップするために、安倍元首相を支えた今井氏を一本釣りしたのです」

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