「巨人移籍」が濃厚だった阪神・大山は残留へ FA宣言後に悩み続けた結果、愛するチームにとどまった“漢”たち

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夢の中にチームメイトの顔がドアップで現れて

 近年では、ヤクルトのエース・小川泰弘も2020年オフにFA宣言後、日本ハム移籍を思いとどまり、残留を決めている。

 同年、FA権を取得した小川は、チームが2年連続最下位と低迷するなか、8月15日のDeNA戦でノーヒットノーランを達成するなど、チームでただ一人二桁勝利(10勝)を記録すると、「野球人生の分岐点。新しい環境で挑戦したい気持ちもある。残留するにしても、しないにしても、納得して来年以降の野球人生につなげたい」として、12月4日にFA権を行使した。

 これに対し、有原航平のポスティングによるメジャー移籍が確実になった日本ハムが、先発の柱として獲得に動く。小川も複数回交渉を重ね、「リーグを変えて戦いたい」と日本ハム移籍に気持ちが傾きかけたが、そんな矢先、夢の中に新主将に就任したチームメイト・山田哲人の顔がドアップで登場、ビックリして跳ね起きたことがきっかけで、「このチームでまた優勝したい」という気持ちが強くなった。

 衣笠剛球団社長から「一緒にやろう。まだあきらめていないよ」と声をかけられたことや高津臣吾監督らの熱意も決め手になり、12月25日、4年総額7億5000万円で残留を発表。「私、小川泰弘は、スワローズの一員として日本一を目指して戦うことを決断しました」の決意は、翌21年の20年ぶり日本一達成により、結実することになった。

 くしくも今回紹介した3人は、FA残留後にいずれも選手、監督として日本一を実現している。大山も続くことができるだろうか。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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