「バラエティ司会」だけじゃない…時代劇俳優「山城新伍」本当の魅力 「杉良太郎」「高橋英樹」をスターにした脇役の妙

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 ペリー荻野が出会った時代劇の100人。第28回は、後年、バラエティ番組で活躍した山城新伍(1938~2009)だ。

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 2024年で没後15年となった山城新伍。亡くなったときニュースなどでは、流行語「チョメチョメ」を生んだ「アイ・アイゲーム」(フジテレビ)をはじめバラエティ番組の司会者としての報道が多く、長く時代劇で活躍した俳優なだけにとても残念だった。

 キャリアの始まりも時代劇だ。1959年、第四期ニューフェイスとして入社した東映が製作するテレビ黎明期のドラマ「風小僧」(NET)に主演。その後、ドラマ「白馬童子」(60年・同前)で子供たちの心をつかみ、人気者となった。

 その映画版の「白馬童子 南蛮寺の決斗」では天下の浪人・葵太郎(山城)が長崎に出かける。なぜ浪人に「天下」がついているのか、長崎にのんきに出かける資金がどこにあったのかなどの説明は一切なし。さらに、長崎のオランダ商館長コープスが日本側に次々と難題を突きつけ、白馬童子の出動となるのだが、どう見てもコープスは日本人。「お前は偽者だな!」って、今わかりましたか!とその大らかさに逆に癒されたりする。デビュー当時の山城は颯爽とした二枚目だった。

 70年代以降は主演ではなく、主役のライバル役や参謀役が増えていく。

目立つ脇役

 ライバル役では、杉良太郎が“杉さまブーム”を作るきっかけにもなったドラマ「新五捕物帳」(77~82年・日本テレビ)の「おいてけ堀の安五郎」。新五(杉)の先輩格の岡っ引で、独自の推理を展開して突き進む(途中降板)。里見浩太朗が主演のドラマ「半七捕物帳」(92~93年・同前)でもライバルの長次親分を演じた。

 山城のライバル役で特徴的なのは、対立はしても決して意地悪ではなく、主役の力を認め、時に助けること。準主役扱いなのである。「半七捕物帳」の長次は、半七の倍はあろうかというロング十手を持って堂々の立ち回り。ものすごく目立つ。ちなみに、ともに東映育ちの里見と山城は、このドラマで30年ぶりの共演となった。

 参謀役では、ドラマ「桃太郎侍」(76~81年・日テレ)で桃太郎(高橋英樹)を助けた「蛙の田之助」が印象に残る。桃太郎のお供は、初代・猿の伊之助を植木等、二代目・雉の与之助を藤岡琢也が演じたが、山城だけは犬猿雉でなく蛙だった。キャラも山城だけお金と女が大好きという軟派系。ただし、登場回は第99話から最終話の第258話まででと、お供の中では一番多い。

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