「逮捕の3か月前は『大丈夫です』と言っていました」板橋・踏切自殺強要事件“加害者グループと被害者を知る”塗装会社社長が独占告白
従業員を東京都・板橋区内の踏切で自殺するよう強要したとして塗装会社社長ら4人が殺人容疑で逮捕された事件。加害者、被害者双方を知る同業者として事件前、警視庁から2度事情聴取を受けていた塗装会社社長が複雑な心境を明かした。(前後編の前編)
***
業界では評判が悪かった
インタビューに答えたのは塗装会社「北山塗装店」社長の北山正幸氏。北山氏は一時期、被害者の高野修さん(当時56)と島畑明仁容疑者(34)を雇い、佐々木学容疑者(39)、野崎俊太(39)容疑者とも同業者として現場で顔を合わせる関係だった。
「事件の関係者5人のうち知らないのは岩出篤哉容疑者(30)だけです。塗装業は狭い業界で、会社は違っても大手ゼネコンが元請けとなる大きな現場で一緒に働いたり、社員を融通しあったりすることがよくあります。佐々木容疑者も彼が独立する前から現場でよく顔を合わせていたので知っています」
佐々木容疑者が独立して「エムエー建装」を起業したのは2013年頃のことだが、業界内では評判は良くなかったという。
「縦や横のつながりを大事にしない会社と見られていました。昔はこの業界は徒弟制度で成り立っており、師匠の親方の元で我慢して10年くらい仕えて、親方がいいぞと言ってくれてようやく独立できる世界でした。佐々木君は、そうした後ろ盾となる親方がいないままポンと独立した印象がある。業界のつながりよりも目先の金ばかり気にするという評判もあった」
個人的にも良く思っていなかったという。
「うちにいた島畑が辞めた後、いつの間にか佐々木君のところで働いていたからです。きっといい条件を出したのでしょうが一言あっていいんじゃないかと。昔はちょっと条件がいいくらいで別会社に移籍する職人なんていませんでしたが、今の若い人たちにとってはそれが普通なのでしょうね」
次ページ:職場にバットを持ち込むほど「野球好き」だった佐々木容疑者
[1/3ページ]