選手層が“厚すぎる”という「ソフトバンク」の構造的問題 他球団が狙いを定める“人材の宝庫”の実態
育成1位指名選手が辞退した背景
ソフトバンクの新入団選手披露会見に、育成1位指名の古川遼投手(18=日本学園高)の姿がなかった。入団を辞退したのである。
高校時代、しのぎを削ってきたライバルたちの名前が支配下で上位指名されたのを見て、「進学して1位指名してもらえるようになる」というのが指名辞退の理由だが、彼は指名後メディカルチェックまで受けており、辞退については球団側もショックを受けていた。
支配下と育成ではスタートラインが違う。12月2日に公示されたソフトバンクの支配下選手は59人。ここに支配下でドラフト指名された6人が加わる。支配下70人の残り枠を約50人の育成選手で争うサバイバルレースと進学を天秤に掛ける選手も、さらに増えてくるのではないだろうか。
「ソフトバンクの一軍登録選手は厚い選手層から選ばれた精鋭とも言えます。他球団の一軍首脳陣は調子の悪い選手がいても、ある程度我慢しながら使っていますが、ソフトバンクは代わりの選手が控えているので起用法が異なります。勝つことと、選手たちのコンディション維持がいちばんです」(前出・地元メディア)
ソフトバンクでのサバイバルレースを続けることになったリチャードだが、自身の狙い球を待ちすぎて「投手有利のカウントにしてしまう欠点」もある。先輩たちは「もっと積極的に」と助言しているそうだが、数少ない一軍での出場機会を活かそうとするあまり、変われないでいるのかもしれない。
プロの世界は結果が全てであり、常に競争だ。しかし、過度な競争は選手の未来も萎めてしまうようだ。