戒厳令が宣布されても「韓国すごい」「米国人や日本人より民度が高い」と誇る韓国人

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緩い地盤の上に立つ民主主義

――韓国はもともと民主国家ではないのですね。

鈴置:北朝鮮や中国と比べれば民主主義国家と言えるでしょうが、少なくとも日本や欧米のような民主主義国家ではありません。これらの国では「法治」の基盤の上に「言論の自由」や「公正な選挙」という民主主義の仕組みが働いている。

 韓国は基盤が固まっていない。そこで何かあると、例えば左右対立が激化すると、民主主義の仕組みが簡単に揺らぐ。韓国人は「日本の民主主義の水準を超えた」と誇りますが、先進国の政治システムを上辺だけ真似したに過ぎません。

 ちなみに、韓国の民主主義の後退を描いた『韓国消滅』第2章の見出しは「形だけの民主主義を誇る」です。システムの構造的な欠点に気づかない以上、それが修正されるはずがありません。

――なぜ、欠点に気づかないのでしょうか。

鈴置:李朝以来、法治を軽んじる儒教国家だったからです。そのうえ、最近の韓国人は「世界に冠たる民主主義を実現した」と信じ込んだ。戒厳令が出ても「韓国すごいぞ!」と叫ぶ人までいるのです。そんな人たちは我が身を鏡に映したりしません。

そろそろ韓国の本質を見抜け

――結局、韓国は西欧・日本型の民主国家にはならないのですね。

鈴置:なりません。しかし、隣の国が自分と同じようにならないからといって、馬鹿にすべきではないでしょう。隣の国の針路は隣の国の人々が決めることなのです。

 ただ、隣国の本質だけは見抜いておく必要があります。日本人はこれだけ約束を破られているのですから、そろそろ韓国に対する認識を改めてもいいはずです。

――でも、多くの日本人が韓国は日本と同じと思っている……。

鈴置:日本のメディアが表面しか報じないからです。朝日新聞の12月5日の社説「韓国『非常戒厳』 民主主義 破壊する愚挙」を読んで驚きました。「民主的選挙による政権交代を繰り返し、成熟した民主主義国家となった」と韓国を評しています。

 1年間に3回も指揮権を発動し、挙句の果ては戒厳令まで宣布する国を「成熟した民主主義国家」と見なすとは……。どこを見て書いているのか、首を傾げるほかありません。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮編集部

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