「ディズニーデートの後ホームに取り残され…」 一度は連絡先を消したお相手とゴールインした女性の結婚秘話

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心の中で何かが音を立てて崩れ……

 クリスマスに東京ディズニーランドでデートした際、「入門することになったけど、結婚してくれる?」とプロポーズ。婚約するも前座の落語家に休みはない。神奈川県川崎市の実家住まいとなり、東京湾を隔てた半遠距離恋愛に。公香さんは彼の忙しさを慮り、メールも半年に1回程度に控えた。

 5年を経た19年秋、久しぶりのディズニーランドデートを楽しんだ後、彼はやってきた上りの電車でさっさと帰路へ。彼女はホームに取り残され、最終の下り電車を待った。連絡しようにもガラケーは充電切れ。せっかく高揚した気分も台無しだ。心の中で何かが音を立てて崩れ、直後に彼の連絡先を削除した。

プロポーズから10年

 2カ月間連絡を無視され、市若さんは慌てた。年明けに彼女の自宅に電話して、「とにかく一回会って話そう」と約束を取り付けた。

 再会の前日。市若さんのただならぬ様子を師匠が不審に感じた。婚約者がいると聞かされていたが、「前座のキツい仕事に耐える自分を慰めたいゆえの妄想だろう」と思っていた。しかし、経緯を説明されて、「俺も会いに行く」と支援の申し出。結局のところ市若さんは一人で会いに行き、何とか仲直りできたのだった。

 20年2月に二つ目に昇進したのを機に市若さんは同居を始めるつもりでいたが、コロナ禍で白紙に。実現できたのは今年5月で、求婚から10年近くたっていた。

 付き合いこそ長くても、同居となれば話は別だ。互いの価値観をさまざまな項目を挙げて確かめ合った。一つが今後の関係。事実婚か入籍かを紙に書き、「せ~の」で二人が指さしたのは「入籍」。めでたく10月末の入籍が決まった次第。

 来年2月は市若さんの芸歴10周年。会場の都合がつかず、26年2月に「芸歴11周年の会」を東京・池袋演芸場で開催する。

 あれこれ波乱の12年を歩んできた二人。公香さんの好きなラッコを見に鳥羽水族館へ旅行する計画も立てているとか。11周年の会では、ラッコにまつわる枕で彼の一席が聞けるだろうか。

週刊新潮 2024年12月12日号掲載

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