「ディズニーデートの後ホームに取り残され…」 一度は連絡先を消したお相手とゴールインした女性の結婚秘話
人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。
そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。
今回登場していただくのは、落語協会前会長(現顧問)四代目柳亭市馬さんの弟子で二つ目の柳亭市若さん(38)と、公香(きみか)さん(39)。
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【写真をみる】“お仕事中”とのギャップがすごい! 妻・公香さんの前では「愛情たっぷりな笑顔」を見せる夫・柳亭市若さん
10月31日に入籍した二人の出会いは、2012年初頭、千葉県君津市。市商工会議所主催の合同コンパ「街コン」が初対面の場だ。当時、市若さんは会社員の身で後輩と一緒に参加。公香さんは「食べ放題、飲み放題だよ」と、いとこに誘われて行った。
公香さんは彼が落語好きと聞いて「高校生のとき、最前列で歌丸さんを見たんです」と話が盛り上がる。市若さんの勤務先はアルギン酸の製造・販売を手がける「キミカ」。同名の彼女に運命的なものを感じた。
最初は「私じゃもったいないよ」
ともにスマホを持たぬガラケー派で、連絡手段はメールと電話。食道楽の趣味も合い、初デートは市内のイタリア料理店。グルメデートを繰り返した秋、洋食店で市若さんは「付き合ってくれませんか」。だが、返事は「私じゃもったいないよ」とつれない。「いやいや」「いやいや」。押し問答のラリーの末、ようやく「じゃあ」と彼女が応じた。
会社に入ってから古今亭志ん生や柳家小さんらの古典を聞き、落語にハマった市若さんは、会社での新たな仕事が性に合わず、落語協会への入門が許される限度の30歳を目前に、落語を職にしたいとの思いを強めた。
「やってみたらいいじゃん。大丈夫だよ」
公香さんに背を押され、その言葉を胸に14年5月、市馬師匠のもとへはせ参じた。「なめるな! この世界を甘く考えるな」と一喝されるも、逆に「入ってくる人のことをちゃんと考えてくれている」と感じた。本当に落語をやりたいか自問を重ね、3度目に面会した12月、入門を許される。
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