「大阪万博」1万円金貨より高価な「10円玉」も…コイン商が明かす「高額で取引される硬貨の条件」とは
コインの表面を磨くのは絶対にダメ
YouTubeなどでは「コイン磨き」の動画が流行している。手垢にまみれたコインを特殊な薬品を使って磨き、輝きを復活させるというものだ。これは見ている分には楽しい。状態の良いコインが高くなるのであれば、コイン磨きの要領で磨けば一攫千金ではないか……と思う人もいるかもしれないが、竹内さんはこう指摘する。
「コインの表面を磨くのは絶対にやめてください。磨いたものか、本当の未使用品かどうかは、我々業者はすぐにわかります。それに、明治時代の金貨や江戸時代の銅貨などは、磨いてしまうと歴史の風合いが失われ、コレクション的な価値が半減することがほとんど。コインはありのままの姿で残していただきたいですね」
見つかったら大化け? エラー10円玉
5円玉や50円玉の穴がずれていたり、穴が開いていなかったりといった、いわゆるエラーコインはよく知られている。実は10円玉にもエラーコインは存在し、もし見つけたら大化けする可能性があるのだ。銀座コインのオークションで落札された品物を見てみよう。
この10円玉は、平成元年に発行されたごくごく普通の10円玉に見える。先ほどのギザ10のように保存状態が良いわけではなく、表面は手垢で汚れている。ところが、本来あるはずの平等院鳳凰堂の刻印がなく、両面に“10”の文字が刻まれている。さらに詳細に観察すると、片面に刻まれた文字は鏡鑑文字になっているのだ。
これは10円玉にごく稀に見られる“陰打”と呼ばれる有名なエラーで、120万円で落札されている。昭和の時代の陰打でも数十万円で落札される例が多いが、製造技術が上がった平成の年号ということで特に希少性が高く、10円玉のエラーコインではトップクラスの高額落札となった。
陰打はごくごく稀ではあるものの、財布の中から見つかる可能性が高いエラーコインであり、50円玉の穴ずれよりも知名度が低いため、見逃されているケースが多い。釣り銭で10円玉を手にしたら、こまめにチェックする癖をつけてもいいかもしれない。もちろん、エラーコインが高いからといって、故意に手を加えると犯罪になってしまうため、ご法度であると心得よう。