妻の“デート報告”に嫉妬、僕も元カノに連絡したら…「浮気公認」が招いた夫婦の破滅
ふたりの「これから」に顔を輝かせる愛美さん
すんなり男女の関係になった。高校生のころはキス止まりだった。彼女に触れたいと思ったがかなわなかった。30年という時を経て、ふたりの思いと体が交わった。こんなことが起こるなんて、人生は捨てたものじゃないと思わず彼はつぶやいた。
「私もそう思ってると彼女が言いました。会えてよかった。もう2度と会えないとしても、今日のことは忘れないって。『何言ってるんだよ。これからも会おうよ』と言ったら、奥さんに悪いからと。うちは大丈夫、もう家庭内別居、卒婚してるんだと言ってしまいました。本当は卒婚じゃないのかもしれないけど愛美の関心を得たかった」
これからいろいろなところへ一緒に行こう、今度はここで僕が料理を作るよ。彼は気持ちが舞い上がり、彼女を喜ばせるようなことを並べ立てた。彼女の顔が徐々に輝いていくのがうれしくてたまらなかった。
「その日、家に帰るといつもなら寝ているはずの妻が待ち構えていました。思わずぎょっとしたんですが、妻は妻でなんだかはしゃいでる。『今日ね、またデートしたの。この前とは別の人』という。『今度、ドライブに行くことになった』というから、よかったねと答えました。正直言って、梨緒の言葉が心に入ってこなかった。僕は自分の身に降りかかった恋に酔い始めていたから」
外泊に、妻は…
それでも日常生活は穏やかに進み、義直さんは愛美さんにどっぷりとはまっていった。外泊などしたことのなかった彼が、愛美さんのところで寝込んでしまい、朝方帰宅したことがあった。すでに起きていた妻は何も言わなかったが、数日後、「ねえ、家庭を壊さないという約束じゃなかった?」と言いだした。
「浮気なんかしてないよ、オレはととっさに言ってしまいました。この前は酔った部下を介抱していただけだ、と。じゃあどうして何も言わなかったのと言うから、聞かれなかったからと答えました。夫婦でこういう会話をするのはおかしいと思いながら。そのときわかったんですよ。妻が浮気公認にしようと言いだしたのは、夫婦間に本当に刺激が必要だと思っていただけなんだ、と。デートしたと妻がいちいち言うのも、僕の妻への気持ちを刺激しようとしているんだと」
妻の“浮気公認発言”は、あくまでもデートをするくらいのことで、それが“本気の恋”であってはいけなかったのだろう。「あなた、今まで誰かとデートしたという話もしたことがなかったじゃない。それなのにどうして突然、外泊なのよ」と妻は怒った。
「だから部下を介抱していただけだってばと反論したけど、妻は完全に浮気をしたと思い込んでいました。まあ、当たってるんだけど。僕はしらを切り通すしかなくて、結局、これって普通の不倫した夫と怒っている妻の図式から抜けていないと思った。浮気公認なんて新しいようなことを言っておいて、実際に疑惑が起こると怒るのはおかしいだろと妻を責めてしまった」
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