子育て終了で「浮気公認」夫婦になろう… 妻の提案に興奮&恐怖する46歳夫の行く末は

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 人生いろいろ、夫婦もいろいろである。中には「浮気公認」を掲げるカップルもいる。とことん話し合ってそういう結論に至ったのならいいのだが、軽々にそういう判断をするとあとから取り返しのつかないことが生じる危険性もある。

「子どもが大きくなったら自由になりたい。家庭は大事だし家族とは仲よくやっていきたいけど、男としてもう一度、自分を試してみたい。そんな気持ちは男も女も変わりなくもっているのかもしれませんね」

 そう言って照れ笑いするのは芝田義直さん(48歳・仮名=以下同)だ。22歳で結婚し、ふたりの子に恵まれた。子どもたちはすでに25歳と22歳。上の娘は大学卒業後、とあるメーカーの営業職として全国を飛び回っている。恋愛より仕事だと言いながら、案外、しっかり恋もしているようだ。下は息子で、現在、大学生だが、大学院に進みたいと思っているようだ。いずれも家を出てひとり暮らしをしている。

「僕は大学2年のときから同じ学年の梨緒とつきあっていました。若いカップルにありがちな嫉妬とか束縛なんてまったくなくて、梨緒は自ら人生を切り開くタイプ。つきあってすぐの夏休みには海外にボランティアに行くというんです。相談もなかったから、『一言、相談してくれればいいのに。夏休み、寂しいじゃん』と言ったら、『私がやりたいことについて、どうしてあなたに相談しなければいけないの?』とキョトンとした顔をしていました。『1年生のときも行ったから当然、行くわよ。だから事前に言ってるでしょ』って。ニコニコしながらそういうんですよ。やりたいことも言いたいこともすべてそうやって通してしまう。でも彼女がそう言うなら、ま、いいかと思っちゃう。そういう魅力を持っていました」

妊娠に「あきらめて」と言ったら…ビンタ

 ケンカひとつせず、つきあいは続いた。彼は将来の結婚を視野に入れて就職を決めたが、彼女は卒業したら海外を放浪する予定だったらしい。ところが予定通りにはいかなくなった。卒業してすぐ、彼女の妊娠がわかったからだ。

「当時、本当に悩んだし、『今は無理だから、あきらめてほしい』と言ったこともあります。梨緒は『わかった。じゃあ、別れよう。私は産むから』と。そんなに意地にならなくてもいいじゃんと言ったら、思い切りビンタされました。『あなたは、そんなに簡単に命をあきらめろというの? 無理だなんて簡単に言わないで。選択肢はもっとあるはずなのに、どうしてその選択肢を探そうとしないの?』と。その言葉に僕は体が震えるような気がしました。すごいなとも思った」

妻の行動力に引っ張られて

 彼女にはかなわない。そう思った瞬間だった。義直さんは梨緒さんに心から謝罪し、急いで両親に彼女を紹介するべく動いた。彼女の親にも会わせてほしいとせっついたが、彼女はどっしりと落ち着いていた。

「うちの親には私が報告するから、会うのは出産後でもかまわない、と。『今、大事なことは親に会うことではなくて、これから私たちがどうやって子育てをしていくのかを話し合うこと、あなたの勤務先はそれをどう思うのか、私は好きじゃないけど根回しが必要なこともあるんじゃないの?』って。社会人経験もないのに、ものすごく現実的なんですよ。あとから共通の知人に、彼女は海外でのボランティア体験から、さまざまな経験を積んでいて判断力や行動力に優れていると聞きました」

 義直さんは、地方の親に仕送りをしてもらって、のほほんと学生生活を楽しんでいた自分とはわけが違うと思い知らされた。

「これからの生活といっても、僕の収入では家族を養ってはいかれない。経済面ではどうしようと言ったら、彼女は『貯金はいくらかある。これで部屋を借りることはできる。その後は私も働くから』と。実際、彼女は得意の語学を生かして翻訳のアルバイトとか、越した先の近所にあるスナックとか、いろいろな仕事をして僕の初任給より稼いでいました。学生時代から顔が広かったし、彼女が困ったといえば誰かが助けてくれる自信があったみたい。それだけの関係を学生時代にすでに築いていたということですね」

 義直さんも会社に連絡をして受け入れてもらった。もともと、新卒が妻帯者であってはいけないという決まりはなかったが、周りからどう見られるかは気になっていたという。

「妻とはそれ以来、なんだかんだでうまくやってきました。常に彼女が一歩リードしている感じでしたが、僕は会社勤め、彼女はさまざまな仕事をしながら、決して裕福ではないけど楽しく暮らしてきた。とにかく彼女が、子どもたちにも自分で考え、選択して決定していくことを重視していたし、僕もそれには賛成だったので、うちの子たちは高校受験でさえ僕らには相談しなかった。ここを受けるからと言われて、わかった、と。それだけです。でも家族麻雀はよくやりましたよ。娘がものすごく強かった」

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