女芸人No.1、今年の「THE W」見どころは 4人でネタ披露の「ぼる塾」 大本命は再ブレーク中のものまね芸人

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純粋なネタの面白さ

 2020年優勝の吉住も、地味で卑屈なキャラクターの女性ピン芸人として注目されるようになった。業界内ではネタのクオリティの高さと演技力が評価されていて「孤高の天才」として知られつつある。

 2023年優勝の紅しょうがも、今年に入ってからテレビ出演の機会が急増している。コンビではあるが、それぞれがパワフルで強烈な個性の持ち主であるため、業界内でも高く評価されている。

 オダウエダ、天才ピアニストの2組も、ネタの面白さが認められて、芸人としての格が上がり、バラエティの仕事も増えてきた。実質的にはチャンピオンのほぼ全組が結果を残しているのだ。

 今年のファイナリストの中で真っ先に目につくのは、ぼる塾、キンタロー。、エルフ、おかずクラブといったテレビの人気者だ。彼女たちは単に知名度があるだけではなく、ネタの面白さでも評価されている。

 特に、普段のバラエティ番組では3人だけで出ていることが多いぼる塾が、この大会ではフルメンバーの4人でネタを披露する。それだけでも貴重な機会と言えるだろう。

 それ以外にも、4回目の決勝進出となるにぼしいわしと紺野ぶるま、「R-1」ファイナリスト経験のある河邑ミク、今年の「ABCお笑いグランプリ」「NHK新人お笑い大賞」で決勝に進んでいるやましたなど、実力者がひしめいている。

 現時点での芸人としての勢いだけで考えるなら、優勝争いの大本命はキンタロー。かもしれない。バラエティ番組に出るたびに力強いモノマネ芸で爆笑をさらい、視聴者に強烈なインパクトを残している。決勝の舞台でもそのパワーだけで並み居る強豪を押し切ってしまう可能性はある。

 ただ、勝負の鍵を握るのは純粋なネタの面白さである。人気や知名度は一切関係ないので、ほかの芸人にも平等にチャンスはある。今年はどの芸人が栄光をつかむのだろうか。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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