相次ぐ「クマを殺すな」の声に揺れる秋田県…地元県議は「クマとの共生が根本」「思い込みではなくクマの生態を知ってほしい」

国内 社会

  • ブックマーク

土崎はクマが出るような地域ではない

――宇佐見さんはまさに騒動になった「いとく土崎みなと店」がある土崎にお住まいだそうですね。

宇佐見:私の家は「いとく」から徒歩20分くらいの場所で、まさにクマの活動範囲です。「いとく」に出たのは、土崎駅付近で目撃されたクマだと思われていましたが、どうもほかにもクマがいるようです。私には子どもが3人いて、いちばん上の娘が小学校3年生なのですが、娘が通う小学校や、その周りの小学校も保護者が送迎をしないといけなくなっています。校門のところには警察官が立っていて、警備が厳重になっていますね。

――物々しいですね。地元の人たちはどんな反応をしていますか。

宇佐見:みんな驚いていますよ。土崎は住宅街で、普通に考えてこんなところまで来るなんて考えられませんから。子どもたちは「怖い」と言う子もいれば、やはり子どもらしいと言いますか、クマを見てみたいという好奇心がある子もいますね。親御さんたちとは、もしクマに遭遇したらどうすればいいんだろうと話したりしています。娘には、急に走ったりしたら追われるから、目を逸らさないようにして、ゆっくり逃げるようにと教えていますね。

――ちなみに、被害に遭った「いとく」は地元の人たちにとって、どんなスーパーなのでしょうか。

宇佐見:地元の人は本当によく行くお店です。私も家族でよく行きますね。新鮮な品物が多いので、クマもそれがわかって、選んで入ったのかなとすら思えます。クマは食べ物を認知する嗅覚は、非常に高いと感じます。

愛護団体からの抗議にどう向き合う

――昨年、秋田県でクマ騒動が起こると、一部の動物愛護団体や個人から行政に抗議が寄せられたことも問題になりました。今年も同様の抗議は寄せられているのでしょうか。

宇佐見:秋田県と秋田市には抗議が寄せられているみたいです。県は昨年の経験があるので、それほど気にしていないようですが…。ちなみに、私は先日「報道ステーション」に出演して、秋田県のクマの現状を話したのですが、それ以降、毎日のように私のところに電話やメール、メッセージが来るようになりましたね。

――どんな内容のコメントが多いのでしょうか。

宇佐見:メッセージが100あったら、40が「ふざけんな」というもので、60は好意的な感じです。「しっかり対応してくれてありがとうございます」とか、「母親が秋田にいるのでよろしくお願いします」というコメントもありますし、猟友会の方からも「自分たちが言えないこと言ってくれてありがとう」と言われます。昨年は、行政は言うまでもなく、猟友会にも抗議する人がたくさんいました。ただ、猟友会の人たちは県民市民の安全を守ってくれている存在です。そういった方々の活動に、支障をきたすようなことは慎んでほしいですね。

――宇佐見さんのXを見ると、毎日のように絡んでくる人が いるようですが

宇佐見:私に直接言う分には構わないのですが、なかには私に対するクレームを行政に入れる人もいるようです。行政の方の仕事を増やしてしまい、本当に申し訳なく思っています。抗議をしてくる人はほとんど県外ですが、たまに秋田県の人もいます。ただ、基本的に秋田県の人で批判的な人はほとんどいないですね。

次ページ:秋田県は野生動物と共存している

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。