過去最高件数を更新した「M&A」の謎 そもそも何する? どう儲ける? 悪徳業者は? 業界団体トップにすべて聞いた
高収入で東大生の人気就職先? 気になる収益構造は
「給料」と言えば、M&A業界は給与水準の高さでも知られている。
M&A御三家の1つ、M&Aキャピタルパートナーズの平均年収は約2400万円と言われており、高年収の代名詞的存在であるキーエンスの約2000万円を抜き日本企業で第1位となっている。それもあってか、最近は東大、京大、一橋など高学歴な学生の人気就職先にもなっているという見方もあるようだ。
荒井氏がトップを務めるストライク社も平均年収は約1200万円。実際、東大生がこぞって入社試験を受けに来るのだろうか――?
「それは言い過ぎです(笑)。確かに高学歴な社員は多いですが、東大生がこぞって、ということはありません。平均年収の高さについて聞かれることも多いですが、この数字は“平均マジック”によるところもある。ストライクは社員数が約400名ですので、極端な話、1人で4億もらう社員がいればそれで平均年収が100万円上がることになります。業界最大手のM&Aセンターさんでも社員数は約1200名ですから、5000人や1万人が働く大企業の平均年収とは単純比較できないと思います」(荒井氏)
そうは言っても、かなりの高収入であることには違いない。やはり、営業マンがバリバリ案件を獲得し、歩合制で給料がガンガン上がっていく、という企業風土なのだろうか。
「必ずしもそうとは言えません。各都道府県には『事業継承・引き継ぎ支援センター』の窓口が設置されており、企業のオーナーさんが相談に来ると、登録された事業者に通知がきます。他にも、企業に出入りする会計事務所や税理士さんを通じてお声掛け頂くケースも。企業の選定から自分たちで行う“ダイレクトソーシング”を専門にする会社もありますが、内訳は会社によって全く違います」(同)
M&A企業の収益構造についても聞いた。
「売買手数料が収入源という点で、不動産業界と収益構造は似ています。ただ。不動産は手数料の上限が3%+6万円と決まっていますが、M&Aは価格が統一されていませんので、手数料は会社によってまちまちです。売買代金が高くなるにつれて料率の低くなる“レーマン方式”を採るところが多く、大型案件では1%程度の場合もありますし、規模の小さなM&Aでは5~8%ほどの手数料が発生するケースもあります」(同)
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