過去最高件数を更新した「M&A」の謎 そもそも何する? どう儲ける? 悪徳業者は? 業界団体トップにすべて聞いた

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 ソニーが検討しているというKADOKAWAの買収や、ドコモが狙っていると報じられた住信SBIネット銀行の買収、そしてトランプ政権誕生でその行方が注目されている、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画……。これらはすべて“大型M&A案件”だ。売上が右肩上がりのM&A業界では、平均年収が2000万円を超える会社もあるという。だが、実際には何が行われているのかなど、謎に包まれた部分も多い。業界団体のトップに疑問をぶつけた――。

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そもそもM&Aって?

 M&AとはMergers&Acquisitionsの略で、直訳すれば「合併と買収」という意味になる。

「どちらも日常生活では聞き慣れない単語ですよね。ただ、M&Aは件数も金額もどんどん増えていまして、2023年の上場企業のM&Aは過去最高の1068件にのぼりました。今年も11月の時点で昨年の件数を上回る勢いで、記録の更新は確実です」

 そう語るのは、業界団体である「M&A仲介協会」の代表理事・荒井邦彦氏だ。

 さらに言えば、1068件は“上場企業”に限った話で、非上場の中小企業なども合わせれば、その規模は「年間1万件はあるはず」とのこと。荒井氏は「M&A御三家」の一角をなす、ストライク社の代表取締役社長でもある。

「一口にM&Aといってもその内容は様々ですが、大きくは3つに分類できます。1つ目は、“選択と集中”によるもので、大企業で実施されることが多いM&Aです。自社の不採算部門や中核ではない事業の経営権を譲渡し、そこから得た売却益で主幹事業の競争力を強化する、というケースです。2つ目は、業界内の競争に敗れた会社を業界内の別の企業が買収するもので“救済型M&A”とも呼ばれます。そして3つ目が“後継者不在”によるものです」(荒井氏)

 ニュースで話題になる大型のM&A案件は、1つ目の“選択と集中”を指す場合が多いが、いま最も件数が増えているのは3つ目の“後継者不在”によるM&Aなのだという。

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