「何回当てとんじゃ!」と監督が激怒 2024年プロ野球は“乱闘寸前”の死球トラブルが多発

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 野球に死球はつきものだが、2024年シーズンは死球をめぐるトラブルが相次ぎ、あわや乱闘の騒ぎに発展するケースもあった。死球がきっかけで起きたすったもんだの顛末を振り返ってみよう。最初の事件が起きたのは、開幕2戦目、3月30日のDeNA対広島だった――。【久保田龍雄/ライター】

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立て続けの“危険球”にスタンドからブーイング

 1回裏、DeNAの先頭打者・度会隆輝に対し、広島の先発・黒原拓未の3球目、146キロ直球が頭部付近を襲う。度会はのけぞって避けたが、ボールはフェイスガードの右耳付近と右肩をかするようにして当たり、転倒した度会はしばらく立ち上がれなかった。

 幸い頭部直撃は免れたため、ベンチで治療後、スタンドの大歓声を受けて一塁へ。黒木はたった3球で危険球退場になった。

 だが、話はこれで終わらない。黒木をリリーフした河野佳も3回、先頭の宮崎敏郎に対し、カウント2-2から5球目直球がすっぽ抜け、肩口をかすめる死球となる。宮崎は怒りの表情で河野をにらみつけ、再び場内は騒然となった。

 さらに河野は、次打者・桑原将志にも2球続けて顔付近に投げ込んだため、スタンドからブーイングが起き、捕手・坂倉将吾が慌ててマウンドに駆け寄った。

 そんな不穏な空気を吹き払ったのが、度会のバットだった。4対0の4回無死一塁、3番手・大道温貴から右越えに勝利を決定的にするプロ2号2ラン。この日4打数4安打2打点と大当たりのドラ1ルーキーは、試合後のお立ち台で、初回の死球について、「そこは大丈夫です。ありがとうございます」と心配するファンに謝辞を述べ、ひと際大きな拍手を受けていた。

帽子を取ろうとしないロッテ・坂本光士郎投手

 オリックス・森友哉が死球に怒りを爆発させたのが、8月12日のロッテ戦である。

 前日の試合を自打球による負傷で欠場した森は、4番DHで先発出場したが、2対0とリードの8回の4打席目、代わったばかりの坂本光士郎の初球、149キロが右肩付近を直撃する。坂本は6日前のソフトバンク戦でも、近藤健介の手首付近への死球で、物議を醸したばかりだった。

 森も「やったな」とばかりに怒りの表情で坂本を睨みつけ、何事か言葉を浴びせながら一塁に歩いていったが、坂本が帽子を取らず、謝る素振りを見せないので、突然足を止め、マウンドのほうに向かいかける。両軍ナインがベンチを飛び出し、左翼ブルペンからオリックス投手陣もグラウンドになだれ込む騒ぎとなった。

 だが、一塁ベンチから飛び出してきたロッテ・吉井理人監督が森の肩を抱くようにして謝罪すると、ようやく事態は収拾。警告試合が宣告されて試合が再開されたが、森を本気で怒らせた坂本のふてぶてしい態度に、ネット上でも「坂本ちょっと堂々としすぎだぞ」「坂本はああいう球が多いからな。怒るのはわかる」等、非難の声が相次いだ。

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