「村上宗隆」が来季限りで退団へ…ヤクルトは長期低迷に陥りかねない“不安要素”を払拭できるか?

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外国人選手への依存度の高さも気がかり

 ここまでは主に投手陣について触れてきたが、野手も課題は少なくない。気になる点が、外国人選手への依存度の高さだ。

 今年のチームホームラン数は103本で、セ・リーグトップに立ったが、そのうちサンタナ(17本)とオスナ(17本)の合計は34本で、全体の33%を占めている。一方、打点はチーム合計の483のうち、サンタナとオスナの合計打点は142と、約3割に達した。加えて、来季限りで村上(33本塁打、86打点)が抜けると、より外国人頼みの打線となることは避けられない。

 そうならないためには、野手陣の底上げが必要だが、レギュラーで若手と呼べるのは長岡秀樹だけで、中堅やベテラン選手に頼っている。二軍には、西村瑠伊斗や伊藤琉偉ら楽しみな若手はいるが、ともに今年のホームランはゼロ。スラッガータイプとして期待できるのは、二軍で7本塁打(一軍成績は1本塁打)をマークした沢井廉しか見当たらない。今年のドラフトでは、高校生スラッガーのモイセエフ・ニキータ(豊川、ドラフト2位)を指名したが、一軍で使えるようになるには時間を要するだろう。

 球団として、もちろん手をこまねいているわけではなく、今年6月にサンタとオスナと来季からの3年契約を結んだほか、2027年にファーム新球場(茨城県守谷市)の開場を予定するなど、編成と育成の両面で動きを見せている。

 ただ、2021年、2022年のリーグ連覇で、球団が山積する課題に対する意識が低くなった部分もあったのではないだろうか。このまま、チームが長期低迷に陥らないためには、スピード感を持って対応していく必要がある。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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