「折田社長に責任を負わせようとしている」 上脇教授が刑事告発に踏み切った斎藤知事側の「あり得ない釈明」

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 PR会社社長・折田楓氏(33)のネット投稿記事をきっかけに、公職選挙法違反の疑いが浮上した兵庫県知事の斎藤元彦氏(47)。11月27日の定例会見で疑惑を否定したが、定例会見後の釈明会見に現れた代理人弁護士の奥見司氏も「知事本人に聞いていないので、確認しないと分からない」などと明言を避けるばかり。識者らはこの会見について「墓穴を掘った」と口をそろえるのだ。【前後編の前編】

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「斎藤知事の代理人弁護士が喋っちゃいましたから……」

 11月27日、定例会見に現れた斎藤知事は、疑惑を否定してはみせたものの、詳しい根拠を問われると、「この問題は、代理人弁護士に対応を任せていますので……」と繰り返した。

 では、その代理人はどう答えたのか。11月27日、斎藤知事が多くを語らなかった定例会見後、別枠として開かれた釈明会見に単独で現れたのが、奥見司弁護士だ。集まった記者たちは、知事が答えなかった疑問点を一斉に質したが、当の奥見氏は、答えに窮すると「知事本人に聞いていないので、確認しないと分からない」などと明言を避けるばかりだった。

 神戸学院大学教授・上脇博之氏と元検事で弁護士の郷原信郎氏が、斎藤知事の刑事告発に踏み切ったのは、この釈明会見があったからなのだとか。上脇氏は言う。

「明らかな公選法違反で、これを許してしまったら全国にまん延して、やりたい放題の無法状態になってしまいます。それを許さないためにも捜査機関に告発状を提出したのです。そもそも今回の一件は難しい話ではありません。まず斎藤知事側の弁明がまったくでたらめなわけです。正直、あの釈明会見が開かれなければ、刑事告発できるか分かりませんでしたが、斎藤知事の代理人弁護士が喋っちゃいましたから……」

“完全な自白”に等しい

 奥見弁護士の説明は、主に以下の通り。

(1) 今年9月末、折田氏のPR会社オフィスを斎藤知事が訪問。目的は知事選のポスター制作の打ち合わせだった。

(2) 折田氏のPR会社には、選挙ポスターや公約スライドのデザイン制作費用などで、71万5000円を支払った。

(3) SNS戦略の企画立案などについて、折田氏のPR会社に依頼したことはない。

(4) 折田氏のPR会社に意見やアイデアは聞いたが、選挙運動は斎藤陣営が主体的に対応した。

(5) 選挙運動は折田氏が個人としてのボランティアで参加していた。

(6) 折田氏の投稿には“盛っている”部分がある。執筆した折田氏へは、今後の推移次第で責任追及もあり得る。

 こうした釈明について、上脇氏に聞くと、

「件の記事(注・折田氏の投稿)に書かれたことが真実だと思います。それを読めば、PR会社が主体となり、斎藤知事側へ選挙の戦略的なPR活動を提案、実行したのは明らかです。しかも斎藤知事の代理人弁護士は、会見の場でPR会社からの請求書を示して、ポスター制作などの報酬として支払ったことを認めました。名目はどうであれ、斎藤知事とPR会社との間に金銭の授受が発生した時点で、刑事告訴が可能になったと判断したのです」

 また代理人弁護士が、“折田氏はボランティア”とした釈明についても、上脇氏は「あり得ない主張」として、こう続ける。

「女性社長の投稿には、“ボランティアでやっていた”という記述は見当たりません。もはや完全な自白に等しいと思います」

 確かに当該記事では、折田氏が自らの立場について、〈特定の団体・個人やものを支援する意図もなく〉とまで書いていて、図らずも“仕事”として今回の選挙に携わったことを示してしまっているのだ。

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