電撃退団の「田中将大」だけじゃない…波乱が続く「楽天」の“年俸”を巡る複雑な事情
監督への評価も低い?
年俸額の高さが「プロ野球選手の評価」であることは石井SDを始め、球団幹部も分かっているはずだ。石井SDはオンライン会見で選手を客観的に評価しなければならないことも説明していたが、年俸の話をすれば、再登板となる三木監督についても、不可解な点がある。三木監督の就任会見が行われたのは10月だが、ここで語られたのは三木監督の意気込みだけで、「契約年数、年俸は未公開」。年俸等を明らかにしない理由も説明されなかった。
「今江前監督は2年契約でした。契約年数を未発表にすれば、1年で解任になったとしても、ファンからの批難は出ません。今江前監督を解任した際の批難がもっとも大きかったと聞いているので、その辺りを意識したのでしょうか」(前出・同)
また、年俸の高さは、球団の監督に対する敬意でもある。楽天監督を経験した大久保博元氏(57)も自身のYouTubeチャンネルなどで語っているが、同球団の一軍監督に提示する年俸は他球団よりも低いという。同氏が楽天監督に就任したのは15年だが、その打診があった際、前巨人監督の原辰徳氏(66)に相談したという。
原氏は「(年俸が)1億円以下なら断れ」と助言、そのときは年俸のことはあまり考えていなかった そうだが、引き受けてから「1億円」と言われた意味が分かったそうだ。
当時の選手名鑑などによれば、大久保氏の監督としての推定年俸は4500万円。それでも、交渉過程でアップされたと言う。野村克也氏、星野仙一氏、ゼネラルマネージャーを兼務した石井氏は推定1億円だが、今江前監督は推定4000万円。他の歴代監督たちも4000万円台だったと予想される。
「初代監督の田尾安志氏(70)は5000万円だったと言われていますが、実際はもっと安かったそうです。野村氏が監督を引き受ける際も『私にもプライドがある』と言って、提示額を見て怒ったくらいです」(NPB関係者)
プロ野球監督の年俸額が1億円を超えて久しい。こうした情報を総合すると、楽天は監督に高額年俸を提示しない球団のようだ。その是非はともかく、原氏が大久保氏に伝えたかった真意は、「提示年俸=評価」、「フロント幹部と対等に話ができるようにする」だったのだろう。1年で解任となった監督たちに大きな落ち度はなかったはず。これでは、監督、コーチたちがフロントと対等に話し合い、リーグ制覇に向けて進んでいけるのか、ファンが首を傾げても当然だろう。
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