闇バイト横行「テレグラム」「シグナル」を規制できない理由 総務省の回答は「管轄外です」

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〈(仕事の内容は)テレグラムというアプリでお伝えしているのですが、アプリをお持ちならユーザーネームを教えてください〉

 SNSで短期・高額のアルバイトを探すと、こんな勧誘のメッセージが送られてくる。最近頻発している闇バイトの地獄の一丁目だ。

 一般に闇バイトの“道具”として使われているのが「飛ばし携帯」、「他人名義の銀行口座」、そしてテレグラムやシグナルなどの秘匿性の高い通信アプリだ。たとえばテレグラムは、やり取りの内容が暗号化されて外部からの解読が難しくなる。また、通信から一定時間で内容が消去されるため、会話相手の追跡も不可能だ。警察が摘発に手を焼いている大きな原因の一つである。

通信アプリは“野放し”状態

 現状では、飛ばし携帯や他人名義の銀行口座については不十分ながらも法で規制されている。ところが、通信アプリに関しては野放し状態なのだ。そこで、通信事業を所管する総務省に聞いてみる。

「私どもが所管しているのは、携帯のキャリア(NTTやKDDI、ソフトバンクなど)である電気通信事業者なのです。しかし、アプリは、電気通信事業者ではない場合が多い。そうなると、管轄外ということになります」(総合通信基盤局利用環境課の担当者)

 一般に、通信アプリを使うためには、アップルが運営する「Appストア」やグーグルの「Googleプレイ」からダウンロードする。ならば、アプリのダウンロードそのものを規制すればいいのではないか。アプリに関しては、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」がある。所管する経済産業省の回答。

「その法律は、(アップルやグーグルなど)アプリストアを運営する会社と、アプリ開発会社との取引が不公正にならないように定められたもので、アプリが犯罪に使われたからといって規制できる内容ではないのです」(商務情報政策局情報経済課の担当者)

 スマホジャーナリストの石川温(つつむ)氏が言う。

「特定のアプリをダウンロードできなくするようアップルやグーグルに要請するためには、危険性を示す明確な根拠が必要です。しかしテレグラムやシグナルは利用者の圧倒的多数が、合法目的で使っている。だったら、包丁も犯罪に使われるから違法なのかという議論も出てきます」

 最後に闇バイト対策に追われる警察庁に聞いてみた。

「現在、関係省庁と連携して、具体的な内容を検討しているところであり、現時点でのお答えは差し控えます」(組織犯罪対策第2課)

週刊新潮 2024年12月5日号掲載

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