なぜモテる?結婚後も「女社長」「専業主婦」らと次々に “オレって孤独”とつぶやく40歳夫が達した境地
「結局は孤独だな」
昼間だけの関係だったのに、気づいたら瑠美さんは家を出て彼のところで生活していたという。2年ほど一緒にいたが、瑠美さんとはなかなか心が通い合わなかった。
「瑠美には夜の仕事への理解もなかったし、僕を縛りつけようとした。自分が家を出てきてしまって帰るところがなかったから、彼女は必死だったんでしょう。でもだんだんそれが僕にはつらくなってきて。家に戻れないならここに住めばいい。家賃は払う。でも生活費までは出せないと彼女に言ったら、翌日にはいなくなっていました。風の噂では夫のもとへ戻ったとか。うまくいってるらしいですよ」
戻るところがある人はいいですよねと、彼はつぶやいた。もしかしたら、法律上の妻であるマリカさんも、彼を待っているかもしれない。そう言うと、「いやいや、それはないでしょう」と彼は笑った。
彼はマリカさんとミチコさんには毎月、養育費を振り込んでいる。それぞれの子どもに会いたくて会いに行ったこともあるが、マリカさんがごく普通に迎えてくれたのが逆に怖くなり、近づかなくなった。ミチコさんは「あなたが来るのを期待してしまうから、もう来ないで」と言った。真逆の反応をしたふたりの女性たちだが、彼はふたりのことを悪く思ってはいない。すべて自分が蒔いた種だから、どんな反応をされても受け入れるしかないと感じているそうだ。
「瑠美と別れてから2年ほどたちます。今、社会人になって初めて、妙に落ち着いた生活をしています。多くの女性たちとつきあい、子どももふたりいますが、オレって結局は孤独だなというのが今の感想ですね。それが寂しいことだとは思わないですけどね。40歳の誕生日は店でお客さんたちがお祝いしてくれました。常連のお客さんたちと疑似家族みたいな関係はあるし、そのくらいの濃さが自分にはちょうどいいんだと思う」
僕のせいで家族に幻滅していたらどうしよう
彼の場合、一定以上の距離に近づくと、相手との関係に飽きてしまうのではないだろうか。「親しい他人」であるはずのパートナーが、想定より自分に食い込んできたときふっと逃げたくなるのかもしれない。家族関係を維持できない人たちには、そういうタイプが多いような気がする。
「家族というものに、心のどこかで拒否反応があるのかもしれません。なぜかはわからないけど。僕は僕なりに楽しくがんばって生きてきたけど、子どもたちが“父親”というものをどうとらえているのかは関心があります。僕のせいで家族というものに幻滅していたらどうしようと思うことはありますね」
不惑を迎えた彼は、20年後に自分がどうなっているかを考えることも増えた。だが最後は、「オーナーの言うように、その日その日が楽しければそれでいいんじゃないか」で思考を止める。ろくな人生じゃなかった、ダメ親でごめんと子どもたちには伝えたいと彼はまた照れたような笑みを浮かべた。
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女性に対する裏腹に、子供に対してはどこか誠実さを匂わせる裕造さん。彼の“女たらし”の歴史は、高校時代の“略奪”にはじまりがあり…【前編】で詳しく紹介している。
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