なぜモテる?結婚後も「女社長」「専業主婦」らと次々に “オレって孤独”とつぶやく40歳夫が達した境地
【前後編の後編/前編を読む】目の前で女性ふたりが殴り合い…修羅場続きモテ男の「苦悩」 始まりは高校時代の略奪事件
塩見裕造さん(40歳・仮名=以下同)は、本人曰く、女難の相の持ち主。女心をくすぐる雰囲気を持ちながら、これまでの女性関係では、ほぼ修羅場を迎えてきたという。高校時代は友人の彼女を寝取って殴り合いになった挙句、どちらが父でもない子を彼女は出産。その騒動で裕造さんは高校を中退し、親からは勘当同然の扱いを受ける。大検を経ての大学時代でも、女友達のアパートへ転がり込んでいた彼の元へ、別れたはずの恋人のエリカさんが現れ、どちらが彼と暮らすかを求めて殴り合いのケンカを始めてしまった。
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【前編を読む】目の前で女性ふたりが殴り合い…修羅場続きモテ男の「苦悩」 始まりは高校時代の略奪事件
大学卒業後、彼は夜の世界へと入っていった。とりあえずアルバイトをしながらぶらぶらしていたが、ある日、繁華街の喫茶店で知り合った初老の男性と世間話に花を咲かせた。男性は「これから行くところがあるんだけど、つきあってほしい」と言いだし、おもしろがった裕造さんはついていった。
「彼はなんと、とあるバーのオーナーでした。バーだけでなく他にも飲食店を2軒ほど経営していた。『きみはおもしろい。ここで働いてくれないか』と。先輩たちに教えてもらいながらバーテンダーとして修業しました。もともとお酒は嫌いじゃないし、カクテルの作り方を覚えるのも楽しかった。それになによりお客さんの笑顔を見るのが好きでした。女性とふたりきりで向き合うより、こうやって仕事でお客さんを楽しませることができるのは僕にとって感動的だった。カクテル作りに夢中になりましたね。深夜になって誰かが『お腹すいたなあ』というと焼きうどんを作って出したりもした。それが案外、おいしいと評判になって、わざわざ夜中にやってくる人もいたんですよ」
そして裕造さんはマリカさんと電撃結婚する。マリカさんは就職して1年たったころ、彼を探しあてて店にやってきたのだ。ずっと探していた、あなたがいないと寂しいと訴えた彼女に心が動いた。
「じゃあ、結婚しようと言いました。すると彼女は、まだ社会人2年目だから婚姻届を出すだけならと。僕もなんだかロマンティックな気分になってしまって、じゃあそうしようとふたりで届を出しました。久しぶりにマリカのマンションに行き、そのままそこで暮らし始めました。マリカも僕も、先のことはほとんど考えていなかった」
マリカさんは23歳、裕造さんは24歳だった。オーナーに伝えると、顔をくしゃくしゃにして喜んでくれたという。若い結婚を反対されるかと思ったが、オーナーはそんな常識にとらわれるような人ではなかった。
娘が生まれても「年上の女性に迫られて関係をもってしまいました」
ただ、結婚生活はすれ違いの連続だった。マリカさんは裕造さんに昼の仕事をしてほしいと思っていたようだが、彼はもう夜の仕事でしか生きられなくなっていた。日曜日だけはふたりとも休みだったから、そこで日頃のコミュニケーション不足を補おうと思っていたが、時間的なすれ違いは心のすれ違いも生んだ。それでも2年後、女の子が生まれた。
「かわいかったですね。うちの天使が、とそのころよく言っていました。ただ、マリカは育休もろくにとらずに職場に復帰、マリカの母親が同居するようになった。昼間は僕もめんどうを見ていましたが、義母が夜職の僕を下に見ているのがわかって、ちょっと嫌な思いをすることが増えました。それから1年ほどたったころ、店の常連だった年上の女性に迫られて関係をもってしまいました。あげくその1回で彼女は妊娠してしまって……。このときは僕も一応、社会人としての自覚があったし、これはまずいなとは思いました」
相手は10歳年上のミチコさんで、姉とふたりで小さいながらも会社を経営していた。ホストクラブにはまって貢いでいるのを知った姉が、裕造さんに愚痴を言ったのがきっかけで、妹のミチコさんとも仲よくなった。
「あるときミチコが、どんなに貢いでもホストは振り向いてくれないと泣き出したんです。ひとりで歩けないくらい酔っていたから送っていった。翌日、『姉に叱られた。もうホストは縁を切るわ』って。お姉さんからは、あなたの説教が効いたと言われました。たいしたことは言っていません。振り向いてもらえない恋は時間の無駄だと突っぱねたんですよ。それがミチコには身に染みたらしくて」
そしてあるとき迫られて、つい関係をもってしまったというわけだ。妊娠となると話は重い。彼はマリカさんにすべて話して離婚を申し出た。ところがマリカさんは納得してくれなかった。
「でもこっちは子どもが産まれるわけだし、放ってはおけない。それで家を出てミチコと一緒に暮らし始めました」
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