「ポスト出川哲朗」の道は選ばず…「R-1」に参戦した「ふかわりょう」50歳の境地とは

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

規格外の大型新人だった

 当時は、謎めいた雰囲気の気鋭の若手芸人という感じだったのだが、バラエティ番組で徐々に彼の素顔が明らかになり、「内村プロデュース」(テレビ朝日系)に出演したことをきっかけに、先輩芸人に容赦なくイジられる「イジられキャラ」「リアクション芸人」としての才能が開花した。

 しかし、ふかわは自分が「ポスト出川哲朗」のポジションに進んでいることに違和感を抱き、その道にはあえて進もうとはしなかった。「ROCKETMAN」名義でDJ・ミュージシャンとして活動をしたり、番組のMCを担当したりした。

 はたから見れば順調な芸能生活を送っているように見えるが、ふかわ自身は、デビューしてすぐにテレビの世界に進んでしまい、ライブの世界から離れてしまったことにずっと後ろめたさを抱いていた。その気持ちが今回の「R-1」参戦にもつながっているのだという。

「小心者克服講座」のネタで大ブレークしていた当時の彼は、たとえるならデビュー当時の大谷翔平のような、キラキラしたオーラを身にまとった規格外の大型新人だった。

 今、50歳の彼がその輝きを取り戻すために再びステージに上がっている。来年の「R-1」決勝の舞台では、若手芸人と肩を並べて必死で汗をかいてネタを披露する彼の姿が見られるかもしれない。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。