選手としての数字はなくても「水原 茂」が忘れられない存在である理由(小林信也)

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 水原茂は、戦前戦後のプロ野球を語る時、忘れられない存在だ。三原脩とは永遠のライバルと呼ばれ、高校、大学、プロ野球を通じ、共に時代を彩った。

 高松商時代は投手兼三塁手、2度も夏の甲子園で頂点に立った。慶大では春夏通算5度のリーグ優勝に貢献。手首と肩の強さを生かして深く守る、守備範囲の広さが際立っていた。ボテボテのゴロを前進して素手でつかみ、そのまま下から投げる。MLBばりのプレーを日本に持ち込んだのは水原だといわれている。

 松竹の看板女優・田中絹代との恋愛でも世間を騒がせた。...

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