平成世代が選ぶ“昭和曲カラオケ人気ランキング”、堂々1位の「タッチ」に続くのは? アニソン席巻も…演歌の歌姫・石川さゆりが大健闘

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演歌界の歌姫・石川さゆりの楽曲が時を超えて愛されるワケは

 続いて、ランキング第3位に戻ると、なんと石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」に。石川の楽曲は第17位に「天城越え」もランクインしており、これら2曲は、これまでに『NHK紅白歌合戦』で13回ずつ歌唱されてきた。ある意味、日本を代表する楽曲たちであり、年輩の方からは「石川さゆりを聴かないと、年を越せない」といった、ジョークとも本音とも捉えられる言葉が飛び出すほどだが、平成世代にも広く好まれているようだ。特に、第3位の「津軽海峡・冬景色」は男性版で4位、女性版では3位と、アニソンに見られるような男女の偏りがないことも大きな特徴だろう。

「確かに、この楽曲は歌の上手い人なら、男女関係なく選んで歌います」(C)

「高校生のころ、部活のメンバーでカラオケに行くと、〆に必ず歌っていました。演歌は細川たかしの『北酒場』や、吉幾三『俺ら東京さ行ぐだ』など、奇をてらって歌われるものもありますが、『津軽海峡・冬景色』は、誰もがそのメロディーを知っていて、声を張り上げて真剣に歌えるので、大いに盛り上がるんですよ」(A)

「やっぱり、みんなが知っている曲なので歌いやすいですね。私も石川さゆりさんの曲は毎年『紅白』を観て覚えていますから」(M)

 今年は、能登半島の地震や大雨による災害もあり、能登を元気づける歌として「能登半島」の人気も高まっているが(参考記事:『47年前の「能登半島」の再生回数が倍に… 石川さゆりが“胸中複雑な再ヒット”と“伝えたい想い”を語る』)、今回の平成世代カラオケランキングからも、「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」の圧倒的な浸透率の高さが分かった。

 このように、昭和の楽曲でありながら、平成世代にも「みんな知っている」と言われる楽曲が少なくないことに、改めて楽曲のチカラを感じた。一方、今はストリーミングサービスにて、速いテンポで次々と曲調が変わる令和の楽曲がたくさん聴かれ、カラオケでもヒットしている。果たして数十年後、こうした複雑な楽曲のほうが新たなスタンダードとなっているのか、それとも昭和楽曲のように、比較的覚えやすくて歌いやすい楽曲が生き残るのか、今後も注目していきたい。

 記事後編では、平成世代に人気のアイドル系の楽曲や、逆に昭和世代には支持されているのに、平成世代では上位にならない楽曲も見ていこう。

(取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター 臼井孝)

【参加者プロフィール】

(チマさん・男性) 父親が車や家で大瀧詠一の楽曲を流してかけていたことをきっかけに、昭和の楽曲にハマる。また、自分のお小遣いで『テレビまんが主題歌のあゆみ』、堀江美都子『歌のあゆみ』シリーズなどアニメ関連のCDやレコード、カセットも集め始め、アニメ『さすらいの太陽』のDVDを見てからは、より一層、昭和歌謡に興味を持つように。収集した音盤や動画サイト、CSでの『ザ・ベストテン』(TBS系)や『レッツゴーヤング』(NHK)の再放送などが主な昭和楽曲の情報源。
よく歌う昭和楽曲:男女アイドルソング全般。最多曲は太川陽介「ムーンライト・カーニバル」

(アガサさん・男性) 幼い頃、実家でCSチャンネルやケーブルテレビ契約をしていたことから、昭和アニメのライブラリーを多く観るように。そのオープニングやエンディングのテーマ曲をフルサイズで聴きたいと思い、CDレンタルを始め、だんだんと昭和歌謡曲も聴くようになる。近年のアニソン楽曲も好きで、緑黄色社会「花になって」がお気に入り。
よく歌う昭和楽曲:藤井健「ゴーショーグン発進せよ」(『戦国魔神ゴーショーグン)、ビリー山口「タンサー5のテーマ」(『科学冒険隊タンサー5』) 

(マイさん・女性) 幼少期からクラシックの荘厳なメロディーや、絵画・映画が好き。10代のころ、’90年代の楽曲を集めたオムニバスCD『クライマックス ベスト90’sプラチナ』をレンタル。その際、当時発売から10年ほど経っていた今井美樹「PRIDE」に衝撃を覚え、それをきっかけとして、平成初期だけでなく昭和楽曲も聴くようになる。
よく歌う昭和楽曲:松田聖子、山口百恵、中森明菜、アン・ルイスなど女性歌手のポップな楽曲

【INFORMATION】
時かけ会~時をかける平成っ子カラオケ~
昭和期をはじめとする、「古き良き時代の曲」が好きな「平成世代」のためのカラオケ会で、ほぼ月1回のペース(開催頻度は、主催者の都合で変更になる場合あり)で東京近郊に集まり、6時間以上をかけて、思い思いの楽曲を歌うカラオケ・サークル。次回は2024年12月21日(土)に開催予定。 X: @heiseikko24

臼井孝(うすい・たかし)
人と音楽をつなげたい音楽マーケッター。1968年、京都市生まれ。京都大学大学院理学研究科卒業。総合化学会社、音楽系の広告代理店を経て、'05年に『T2U音楽研究所』を設立し独立。以来、音楽市場やヒットチャートの分析執筆や、プレイリスト「おとラボ」など配信サイトでの選曲、CDの企画や解説を手がける。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)、ラジオ番組『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)に出演中。データに愛と情熱を注いで音楽を届けるのがライフワーク。

デイリー新潮編集部

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