トランプ氏も支持したのに…米・フロリダ州で「大麻合法化」が“否決”の衝撃 大統領選より“番狂わせ”の声も
「マイアミ・バイス」「バッドボーイズ」の舞台に
映画化もされた人気刑事ドラマ「マイアミ・バイス」の舞台となっただけでなく、映画「スカーフェイス」では、主人公のトニー・モンタナ(アル・パチーノ)がキューバからマイアミへと渡り、コカインビジネスで成功を収めた。また、犯罪アクション映画「バッドボーイズ」シリーズでは、ウィル・スミスが麻薬捜査に携わるマイアミ市警の刑事を演じている。
そうしたことから「マイアミはドラッグに寛容な土地柄ではないか、マリファナ程度は黙認するのだろう……」と筆者は勝手に考えていた(いま思えば実に稚拙な想像だが)。そこに今回の“否決”という結果である。驚いた筆者が調査してみたところ、フロリダ(とりわけマイアミ群)の治安や薬物問題はアメリカの他州と変わりなく、むしろ近年では保守派の共和党が勢力を増しているという。共和党のデサンティス州知事は大麻合法化に強く反対し、大麻業界のキャンペーンに押されながらも「嗜好用大麻を認めれば交通事故が急増する」などの広報活動を積極的に展開していたことが分った。
意外なほど冷静だったフロリダの人々
〈フロリダは非常に魅力的な大麻市場であり、合法化されれば初年度の売上高は49~61億ドル(約7600~9400億円)と試算される〉というロイターの記事を目にしたこともあるが、フロリダ住民の半数は思いのほか大麻に否定的のようだ。実際に合法化された他州の現状をきちんと見極め、「税収増や経済の活性化が若干見込まれるとしても、あえて災いを招く必要はない」「リゾート地でマリファナを容認すれば、問題はより増幅される」という先を見越した冷静な意見を持っていたように思える。これが今回の結果に繋がったと、改めて推察してしまう。
大統領選でハリス氏が発言したように、このまま連邦レベルで合法化が進めば、現状をはるかに凌ぐ“巨大な大麻企業”が生まれることだろう。大手金融機関は胸を張って彼らに資金提供し、企業買収や大麻ファンドも盛んになって、大麻関連のスタートアップ企業の立ち上げにも拍車がかかるずだ。
そうなると、どうなるのか。世界にどのような影響を及ぼすのか。想像するに余りある。フロリダの住民は「合法化政策はどの州も成功しているとは言い難い。まだまだ検討を要する」と“待った”をかけたのではないか。筆者にはそんな気がしてならないのだ。
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