どうして絵を見るのに考えなきゃいけないの? “考える美術”ばかりになった理由を横尾忠則が語る

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 絵は頭で描くのではなく、肉体で描くのです。といって頭に絵具を塗りたくって、キャンバスに体当りして描くボディペインティングではありません。頭で描く、つまり頭で考えた観念や言葉で組み立てた知性を発想の源泉にして描くのではなく、いわゆる肉体感覚、五感のことですが、頭脳の考えよりも五感が知覚する感覚を優先して描くことを僕は肉体で描くというのです。

 子供はいちいち頭で考えて描くというよりは肉体が感じる感覚で描きます。ところが、学校の絵画教育によって、感じることから考えることを重視する方向に次第に変っていきます。...

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