メディアの「偏向報道」はなぜ起きるのか…ネットニュース編集者が明かす「マスコミ」こそが陥る「罠」
こいつが“クロ”だ
結局、2016年と2024年の選挙における日米メディアの予想は、「スノッブメディアの戯言」になってしまったわけだが、ここからは日本メディアが思い込みで報じ、誤報となってしまった例を紹介しようと思う。「ハリス氏が勝つ」「斎藤氏は負ける」といったことに連なるものの数々である。
まずは1994年の松本サリン事件である。この時、河野義行さんが「農薬の配合を誤った」といったことからサリンを生成したことにされた。河野さんについては、妻がオウムによって散布されたサリンにより寝たきり状態になったが、メディアは同氏を犯罪者扱いした。とにかくメディアは「公正を期す」と言うばかりで、一旦方針が決まると「こいつが“クロ”だ」と決めつける。河野さんは妻がとんでもない被害に遭ったうえに、犯罪者扱いされたわけで、「マスゴミ」の罪深さを感じるとんでもない騒動である。
そんな失態を犯しながらも反省などなく、マスコミの一方的な報道は続く。たとえば2002年10月、サッカー日本代表は日韓W杯終了後、初の親善試合を行った。フィリップ・トルシエ前監督は守備重視の監督だったが、ジーコ監督就任で「ファンタジスタ」を優遇する布陣を取るとメディアは喧伝した。
黄金の中盤
そして、「黄金の中盤」とジーコ氏の現役時代のブラジル代表のMF4人を持ち出し、中田英寿、小野伸二、中村俊輔、稲本潤一を日本版の黄金の中盤と扱った。だが、負傷もあり、この「黄金の中盤」はそれほど試合で揃うことはなかったが、10月段階のメディアの報道はあたかも日本代表に、ジーコ氏率いるブラジル代表的な圧倒的な力を持つMF陣が揃ったと喧伝した。まぁ、結果的に2006年のドイツW杯で日本代表は予選敗退をする。
もちろん中田、小野、中村、稲本は日本ではすごい選手ではあるが、当時の世界レベルのMFでいえば、ジダン、ヴィエイラ、ネドベド、ダービッツ、セードルフ、マケレレ、ピルロといったレベルの選手がいたのである。それを過度に日本のメディアは「黄金の中盤」と褒めそやした。
サッカーについては後日譚があり、2010年の南アフリカW杯直前、親善試合で負け続けた岡田武史氏の更迭論が大手メディアでもネットでも登場。しかし、岡田氏は直前の親善試合で阿部勇樹を「アンカー」に据える守備的布陣を採用。コレがうまくハマり、予選リーグ初戦のカメルーン戦で見事勝利。
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