21年ぶり大関同士の相星で激突した「琴櫻」と「豊昇龍」、躍進を支えたそれぞれの努力とは? 不振「大の里」はまだこれから【音羽山親方の九州場所総括】

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40歳での三役も叶うのではないか

――そして、先場所、今場所と話題になったのが、九州場所中に40歳を迎えた玉鷲関です。通算連続出場は史上1位を更新中、40歳で、加えて幕内で勝ち越した力士は、旭天鵬関(現・大島親方)を含めて、昭和以来4人目という快挙です! 「長持ち」の秘訣を、親方はどのように見ていますか?

音羽山:いやぁ、もうすばらしい! のひとことですよ。彼のよさは、今も昔も(準備運動など)やることが変わっていないということ。普段から手を抜かないで、一生懸命やっているところは尊敬に値します。

 じつは、彼は私より1歳年上で、たまたまモンゴルから東京に遊びに来た時に(当時、鶴竜が所属していた)井筒部屋にフラッと現れた。そこからいろいろな縁があって、玉鷲は片男波部屋に入門するわけなんですが、まさか私よりも長く相撲を取るとは思っていませんでした(笑)。私は35歳で引退していますから、「40歳で現役」なんて、夢のようですよ。

 そして、気持ちが若々しいですね。今場所は久しぶりに勝ち越して、インタビューでどんな話をするんだろう? と興味を持っていたら、「早く三役に戻りたい」と言っていた。もうこの年齢になれば、「まあ、そこそこでいいや」なんていう諦めの気持ちも出てくるものですが、常に上を目指している。彼なら、40歳での三役も叶うのではないかと思います。

来年は力士の分布図がかなり変わる?

――ぜひ、実現してほしいですね! さて、期待の若手力士を挙げるとしたら、どなたになりますか?

音羽山親方:「先物買い」ではありますが、十両の土俵では、安青錦(安治川部屋・ウクライナ=20)、大青山(荒汐部屋・モンゴル=24)、若碇(伊勢ノ海・京都=19)が目立っていると思います。若碇は176センチ、110キロ台の小兵ですが、こういう小さいタイプが暴れてくれると、土俵が湧きますからね! おもしろい存在です。

――2025年には、新横綱の誕生も期待されますね!

音羽山:ぜひ、琴櫻、豊昇龍、大の里の中から横綱が誕生してほしいと思っていますし、ファンのみなさんは、「日本人横綱」を期待されているのではないかと思います。

 こうやって、新しいスターが出てきて、時代はどんどん変わっていくんです。来年は力士の分布図がだいぶ変わる年になるのではないでしょうか?

武田葉月
ノンフィクションライター。山形県山形市出身、清泉女子大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『横綱』『ドルジ 横綱朝青龍の素顔』(以上、講談社)、『インタビュー ザ・大関』『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士』(以上、双葉社)などがある。

デイリー新潮編集部

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