「資産は約2300億円」 セブン-イレブンの買収を阻止しようとする創業家の長女とはどんな人物か
先日、セブン&アイHDが創業家から大規模なMBO提案を受けていることが明らかになった。その額なんと9兆円。成立すれば過去最大の企業買収となる見通しだ。そんな歴史的MBO構想だが、中心にいるのは創業家の「長女」だという。
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【写真を見る】セブンイレブンを飲み込もうとするACTが展開するコンビニチェーン「クシュタール」
今年8月に発表された、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール(ACT)」によるセブン&アイHDへの買収提案。当初、買収額約6兆円とされた構想は、セブン&アイ側の〈当社の価値を著しく過小評価している〉という主張をもって退けられたかに思えたが、ACTは諦めなかった。
「今回のMBO構想はACTによる買収阻止のためとみて間違いないと思います」とは経済ジャーナリストの磯山友幸氏。
「ACTはセブン&アイの抵抗を受けて、9月に買収額を7兆円につり上げました。昔であれば“乗っ取り”だと簡単にノーを突き付けることができたかもしれないが、今はそうもいかない。経営陣には株主の利益に配慮する姿勢が求められ、巨額な買収提案を無下にもできません。そこで体よく提案を断り、今後の買収を阻止するために創業家がMBOを持ちかけたといえます」
財布のひもを握る長女
セブン&アイHD傘下のイトーヨーカ堂やセブン-イレブンなどを創業したのは故・伊藤雅俊氏。今や日本を代表する企業を次々と生み出した“天下人”だが、その伊藤家の財布のひもを握っているのは雅俊氏の長女・山本尚子氏だという。
全国紙経済部記者が言う。
「今回のMBOを提案しているのは伊藤家の資産管理会社の伊藤興業。ここはセブン&アイの株式を8%余り保有する大株主です。山本氏はこの会社の代表取締役を務めていて、雅俊氏が亡くなる前から実質的な取りまとめ役を彼女が担っていました。今回のMBOで中心的な役割を果たしているのも彼女だとされています」
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