凄腕「選挙コンサルタント」が斎藤知事を支えた「PR会社社長」のnoteを読んで“絶句”…「公選法違反を疑われるのは当然」と指摘するワケ

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「公選法の前か後か」の問題

 出直し知事選に出馬する斎藤氏は《政党や支持母体などの支援ゼロ》で戦わざるを得なかった。そして彼は《とある日、株式会社mercheのオフィスに現れた》という。

 この記述が事実だとしたら──本当に事前の電話連絡やメールでの相談もなく、ふらりとオフィスを訪れたのなら──ひょっとすると斎藤氏は“わらにもすがる”思いで折田氏の元を訪ねたのかもしれない。

 選挙コンサルタントの鈴鹿久美子氏は“勝たせ屋”の異名を持つ。政治家育成、国会議員秘書の人材育成なども手がけながら、これまで立候補した100人以上の“政治素人”を当選させており、その勝率は88%だという。

 鈴鹿氏に折田氏のnoteにどのような感想を持ったのか話を聞くと、「公職選挙法に関する知識が欠如した状態で執筆されたのは明らかです。ちょっと驚きました」と言う。

「意外に指摘されていませんが、折田さんが主張する“広報全般”の業務内容が公選法に抵触するかどうかは、告示日の前なのか後なのかという点も非常に重要です。極端に簡略化して説明すると、折田さんの業務内容が告示日の前で全て終わっていれば、これほど問題視されることはなかったと思います。法曹や政治の専門家が『noteの記述が事実なら、公選法や政治資金規正法に抵触する疑いがある』と指摘しているのは、折田さんが告示日の後でも、報酬の発生する業務として広報の仕事を行っていたという疑いを持たれる可能性があるからです」

ポスター制作の問題点

 11月25日、斎藤氏は出席した全国知事会が終わると、報道陣の取材に応じた。折田氏のnoteについて質問されると、公選法に抵触する事実は「ないと思っている」と否定し、merchuには「ポスター制作しか頼んでいない」と反論した。

「確かに選挙コンサルタントの仕事でポスターの制作は重要な業務です。候補者のイメージを、髪型や表情、服装を専門的な観点から決定し、専門家集団のチームで進めます。策定されたコンセプトの元、カメラマンが撮影してデザイナーがポスターに完成させます。ただしこの前提として、デザインのコンセプトを固めるためには、どういう選挙戦を展開し、どんな主張を訴え、何を争点にするかを明確化する必要があります。選挙戦のグランドデザインを正しく描くことで、ポスターや政策ビラなどを、効果的な戦略アイテムとしてのデザインを決めることができるのです」(同・鈴鹿氏)

 折田氏のnoteにも、斎藤氏の写真を撮影し、選挙戦のコピーやメインビジュアルを策定し、それに基づいてポスターやチラシ、選挙公報などを作成したと記されている。

 鈴鹿氏の場合も選挙のグラウンドデザインを決める過程において、選挙戦での主張や争点、演説の内容、演説での喋り方、演説での表情、政策ビラの文面、候補者のキャッチコピー……など、ありとあらゆる分野で提案、指導を行う。

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