なぜ「交通事故は判決が甘い」と批判されるのか 時速194キロの死亡事故、飲酒追突で3歳と2歳の少女2人が焼死……悪質なドライバーを「殺人罪」で起訴できない理由

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殺人罪の起訴が難しい理由

「千差万別の交通事故は、本来であればケース・バイ・ケースの判決が求められるはずです。『この事故は特に悪質』と選ぶこと自体がケース・バイ・ケースの実情に合っていないわけであり、その弊害が大分地裁の裁判で浮き彫りになったと見るべきではないでしょうか。むしろ過失運転致死罪の上限を懲役15年とか20年に引き上げるほうが、様々な様態の交通事故を一つの法律で裁くことが可能となり、検事、弁護士、裁判官の法曹三者も審理がやりやすくなるのではないかと思います。ただし、私個人としては『酒を呑むと人事不省に陥ることを知りながら飲酒運転を行い、トラックを観光バスに衝突させて数十人を死亡させた』というような非常に悪質な交通事故の場合は、殺人罪で起訴して裁判所で判決を下すべきだと考えています。ただし、日本の司法システムでは実現は難しいでしょう。アメリカの大陪審制度のように、市民から選ばれた陪審員が起訴・不起訴を決める制度などが必要だと思います」(同・田中弁護士)

 大分地裁の裁判では遺族の代理人弁護士が求刑意見を述べた。その際、元少年の「加速する感覚を楽しんでいた」という証言から、「過失犯として捉えることは相当でない行為に該当しないのか」と問題提起している。判決は今日、11月28日に言い渡される。

第1回【「時速194キロ」で死亡事故も“危険運転”ではないのか…被告側は「最高速度250キロの高級スポーツカーなので制御困難ではなかった」と主張】では、当初は過失運転致死罪で起訴が行われ、猛反発した遺族が地道な署名活動を続けたことや、大分地裁で弁護側が「事故を起こしたBMWの最高速度は250キロであり、190キロでも制御不能にはならない」と反論したことなどを詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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