「企業経営の手法」で国家運営、マスク氏主導の“大リストラ”も…投資家・実業家ぞろいの「トランプ政権」が失敗できないポイントとは

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政府効率化省はどう動く

 一方、支出削減については外交安全保障面での負担軽減が大前提だ。

 トランプ氏は「戦争はコストだ」と毛嫌いしており、覇権国としての責務などこりごりだろう。日本を始め同盟国に対して防衛費の負担増を要求するのは確実であり、「パックス・アメリカーナ(米国による平和)」が終焉の時を迎えてしまうのかもしれない。

 このところ関心を集めているのは、連邦政府予算の大幅削減だ。

 トランプ氏は12日、マスク氏および共和党の大統領候補者指名争いに参戦した実業家のビベック・ラマスワミ氏が新組織の「政府効率化省(DOGE)」を率いると発表した。DOGEは政府機関に対する諮問機関のような役割を担うと見込まれている。1972年の連邦諮問委員会法が根拠法になるようだ。同法では大統領が官民で構成される委員会から意見を求めることを認めている。

 マスク氏は連邦政府予算を2兆ドル(約308兆円)削減できると主張している。この金額は今年9月末終了の会計年度の歳出(6.5兆ドル)の約3分の1に相当する。

連邦政府の大リストラは可能か

 マスク氏は20日、連邦政府の規制撤廃により政府職員の大幅な削減を進めることができるとの方針を示した。

 連邦最高裁が2022年に下した判断は、連邦議会の明らかな承認がない場合、連邦政府は経済的または社会的に広範な影響を及ぼす重大な問題に対処できないというものだ。今年6月にも「曖昧な法律の運用は当局の解釈に従う」とする過去の判例を覆している。

 マスク氏は「最高裁の判断をかんがみれば、何千もの連邦規制は無効だ」と主張しており、年間5000億ドル(約770兆円)以上の歳出削減を目指すことができるとしている。

 Twitter(現在のX)を買収したマスク氏は、約8割にあたる従業員の解雇を断行した。だが、企業経営とは異なり、連邦政府の大リストラを鶴の一声で実現するのは困難だと言わざるを得ない。

 マスク氏の求める規制緩和が進む可能性は高いだろう。だが、連邦政府の債務削減は「絵に描いた餅」になってしまうのではないかという不安が頭をよぎる。

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