「仁義なき戦い」だけじゃない! 没後10年「菅原文太」の出演作ベスト10 「沢田研二と共演」で話題を呼んだ異色アクション映画が3位に
鬼気迫る演技に圧倒された
3位に食い込んだ「太陽を盗んだ男」(長谷川和彦監督、1979年公開)は沢田研二との共演で話題を呼んだ作品だ。
「文太さんが演じたのは、単純な正義として描かれるのではない、アウトローに対してやむを得ず同調してしまう刑事という難しい役。アウトロー的な雰囲気を持つ文太さんだからこそ、あの役を演じきれたのです」(映画プロデューサーの奥山和由氏)
4位は「懲役太郎 まむしの兄弟」(中島貞夫監督、1971年公開)。
「シリーズ化された作品の第1作でアクションコメディですが、菅原文太の個性が非常によく発揮された作品です」(白井氏)
先の奥山氏は6位に入った「現代やくざ 人斬り与太」(深作欣二監督、1972年公開)の魅力について、
「本物のヤクザが持つ怖さをうまく表現した、鬼気迫る演技に圧倒されました。文太さんが作中で発揮している活力や精力が凄まじく、パンパンに張り詰めた雰囲気が感じられます」(奥山氏)
と語るが、7位の「県警対組織暴力」に対しても賛辞を惜しまない。
「文太さんが演じる刑事が、これからカチコミに行こうとしているチンピラから金を巻き上げる屋台のシーンは圧巻。文太さんは留まることを嫌う人でした。この作品で文太さんは、『仁義なき戦い』で見せた菅原文太とは違う路線に向かい、新たな活力を得たのです」(奥山氏)
後年に発揮された“味”も捨てがたい
「仁義なき戦い」と共に菅原文太の代表作に挙げられることの多い「トラック野郎」シリーズは、第1作「トラック野郎 ご意見無用」(鈴木則史監督、1975年公開)が8位にランクイン。
「この第1作は荒削りな仕上がりながらも、シリーズ化以降の作品にはない、特有のパワーが魅力的です」(桜美林大学助手でトラック野郎研究家の小川晋氏)
高倉健との顔合わせが実現した「神戸国際ギャング」(田中登監督、1975年)は9位に。10位は「釜爺」の声を担当したアニメ映画「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督、2001年公開)となった。
「あの“釜爺”の声には、独特の味わいが出ていましたよね。私、あの声が結構好きなんです」(映画監督の崔洋一氏)
初期の“ギラギラ感”に満ち溢れた菅原文太が必見なのは言うまでもないが、後年に発揮された“味”もまた捨てがたいのである。