「ラッセンネタ」で大ブレークした「孤高のカルト芸人」が「毒舌論客キャラ」で大復活した理由
ライブで大笑い
永野のライブには何度となく足を運んでいて、彼のネタでは大笑いしている。しかし、その面白さを論理的に説明することは難しい。ただ、ほかの芸人を見ていても味わえない、代替不可能な魅力がある。
また、彼はトークの腕も超一流である。ノッているときの永野は、四方八方、手当たり次第に破れかぶれに毒づいていく。好き勝手にしゃべっているように見えるが、本質を突いているところもあるので、聞いていると思わず笑ってしまう。
「M-1グランプリ」のような賞レースが人気になり、芸人たちはアスリートのように真剣に勝負に挑むようになった。見る側も芸人たちが真面目に戦う姿に心を動かされたりする。
しかし、本来、芸人とはそんなものだっただろうか。芸人とは「人を笑わせることを職務とする人」である。笑いという結果が得られるのなら、その方法は何でもいい。
その意味で、永野は誰よりも芸人らしい芸人である。賞レースで勝てるとか、大喜利が得意であるとか、ひな壇で気の利いたコメントができるとか、落とし穴に落とされて良いリアクションができるとか、そういうことではなく、ただその人の内から湧き出るものが面白い。既存のレールに乗らず、自力で道を切り拓いてきた永野は、まさに芸人の中の芸人なのだ。
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