「ラッセンネタ」で大ブレークした「孤高のカルト芸人」が「毒舌論客キャラ」で大復活した理由
しゃべりが評価され
「孤高のカルト芸人」の異名を取るピン芸人の永野は、2015年頃に「ゴッホより普通にラッセンが好き」と歌って踊るネタで大ブレークを果たした。ただ、その後はテレビに出る機会も少しずつ減っていき、世間からは忘れられた存在になっていた。
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しかし、そんな彼が最近、まさかの再ブレークを果たした。最初のブレークのときには、1つのネタだけで注目されていて、いわゆる「一発屋芸人」のような扱いを受けていたのだが、今ではしゃべりの面白さが評価されていて、トーク番組などの仕事が増えている。
レギュラー番組の「フロンティアで会いましょう!」(NHK)、「永野&くるまのひっかかりニーチェ」(テレビ朝日系)をはじめとして、テレビ、ラジオ、YouTubeなど幅広いメディアで活躍を続けている。
今の永野は「ブレークしている」というよりは、実力が評価されて地に足のついた活動を行っているという印象が強い。一般大衆に理解されづらいマニアックな芸を売りにしていた彼が、いま世間に求められている理由は何なのか。
永野の人気に再度火がつくきっかけとなったのは、数年前に彼がYouTubeを始めたことだった。そこで自分が好きな洋楽や映画の話をしたところ、それが面白いと評判になった。ここで初めて、謎めいた芸風の彼のパーソナルな部分にスポットが当たるようになった。
それと並行して、マヂカルラブリーが主催した配信ライブで永野が大活躍をしたことが業界内で評判になり、少しずつテレビやラジオにも呼ばれるようになった。「マルコポロリ!」(関西テレビ)、「チャンスの時間」(AbemaTV)などのお笑い色の強い番組でズバッと本質を突く毒舌トークを披露したことが評判になり、ますます仕事が増えていった。
個人的には、最初のブレークの前から永野のライブにはよく足を運んでいて、もともと大好きだった。何よりもネタにオリジナリティがあって面白かったし、トークも絶品だった。彼がやっていること自体は、あの頃から何も変わっていない。
永野のネタは謎に満ちている。ヒット作となったラッセンのネタも「これのどこが笑えるんだ」と誰かに真顔で問いかけられたら、きちんと答えられる自信がない。
それ以外にも、永野のネタはタイトルを口にした時点で思わず吹き出してしまうような「究極の出オチ芸」とも言える独特のものである。「浜辺で九州を一人で守る人」「富士山の頂上から二千匹の猫を放つ人」など、どれを取ってもまともに説明可能なネタがない。
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