「主人公が清廉潔白」はもう飽きた! “カネに執着する夫婦”を安達祐実&青木崇高が好演する「3000万」が今期ナンバーワン
ひとりで描(えが)く脚本は、良くも悪くも世界観が固まる。複数で描くと各自の持ち味が暴走して散漫になったり、急に変調して安っぽくなることも。ところが、だ。「3000万」は複数で同じ世界観の延長線上を描きながらも、多角的な視点が協調している。令和の犯罪模様(闇バイト系強盗が多いよね)をリアルタイムで描くクライムサスペンスの中に、夫婦のさまつな小競り合い、犯罪者側の憂鬱(ゆううつ)と滑稽味、罪悪感の行方を巧妙に織り交ぜていく。アメリカの名作「ブレイキング・バッド」の風味もかすかに漂う。...