「3年連続最下位」の中日にも“明るい材料”はある 球団関係者は「チーム打率3位で得点数最下位は首脳陣の問題」とピシャリ

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チーム打率はリーグ3位も、得点数が最下位だった理由

 一方、今年もリーグ最下位の得点数に終わった野手陣だが、こちらも改善の兆しが見えてきた。昨年、現役ドラフトで加入してブレイクした細川成也が今年も大きく打率(打率.253→打率.292)を伸ばすなど、完全に中軸打者として定着したことだ。

 もう1人、核となる選手である岡林勇希は、開幕当初、出遅れながらもシーズン終盤は状態を上げて3年連続で規定打席に到達した。また、福永裕基と村松開人が、自身初となるシーズン100安打を達成したほか、セカンドの田中幹也は、守備面で強烈な印象を残した。捕手の木下拓哉(※FA権の行使を表明)が大きく成績を落としたのは気がかりだが、今年のドラフト会議で、社会人ナンバーワン捕手の呼び声が高い石伊雄太(日本生命)を獲得した。センターラインを中心に戦える陣容は揃ってきたことは間違いないだろう。

 実際、今シーズンの打撃成績を見ると、チーム打率はリーグ3位、チーム本塁打数はリーグ4位と、いずれもリーグ最下位だった昨年より改善している。それでも、得点数(373点)が最下位だったのは、立浪前監督をはじめ首脳陣の問題が大きかったのではないかと、中日の球団関係者は話す。

「よく打線が“線”にならないという言い方をしますけど、まさにそんな状態だったと思います。開幕は中田翔を4番にして、細川を5番でスタートしましたが、なかなか機能しませんでした。それ以降もいろんな打順を試していましたが、結局、固定できたのは4番の細川だけですよね。福永なんかは、ずっと安定していたのに、様々な打順を任せられて、もったいないように見えました。どういう形で得点するのかというイメージが首脳陣にあったのか疑問ですね……。それが選手にも伝わっていたのではないでしょうか」

“強い中日”はすっかり過去の話に

 この話にもあるように、先発出場した試合を調べると、「4番・細川」が最も多く86試合、続いて「1番・岡林」の64試合が続いている。

 中日とチーム打率と本塁打数が近い阪神は、得点数では112点も中日を上回っている。「1番・近本光司」、「2番・中野拓夢」、「3番・森下翔太」が揃って100試合以上、「4番・大山悠輔」も90試合に達している。このあたりに、得点力の差が出た要因なのかもしれない。

 ただ、そういう意味では、首脳陣が大きく入れ替わった点はプラス材料だろう。新たに就任した井上一樹監督は、今年二軍監督として、昨年ウエスタン・リーグでダントツの最下位だったチームを2位に押し上げた。もちろん、一軍と二軍では求められる役割や環境が異なるため、単純な比較はできないが、チームを浮上させた経験は大いに期待できる。

 中日が最後にクライマックス・シリーズに出場したのは2013年であり、既に10年以上が経過しており(3位となった2020年はコロナ禍でクライマックス・シリーズは中止)、“強い中日”はすっかり過去の話。ここから再びチームを上昇させることができるのか。井上監督と新たな首脳陣の手腕に注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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