「3年連続最下位」の中日にも“明るい材料”はある 球団関係者は「チーム打率3位で得点数最下位は首脳陣の問題」とピシャリ
プロ野球の12球団のなかで最も長期低迷に苦しんでいる中日。過去10年間の成績を振り返ると、Aクラスは2020年の3位だけで、6位が4回、5位が5回。絶大な人気を誇った「ミスタードラゴンズ」こと、立浪和義前監督も3年連続最下位と全く結果を残せなかった。【西尾典文/野球ライター】
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長期低迷する中日の“明るい材料”
さらに、今オフには、投手陣の屋台骨を支えた2投手が同時に退団する可能性が出てきた。今年、チーム最多投球回を記録した左腕の小笠原慎之介がポスティングでのメジャー移籍を目指すことが決定したほか、3年契約を終えた絶対的守護神・マルティネスの去就が、微妙な状況となっている。
彼らが抜ければ、かなりの痛手になる。とはいえ、中日にも“明るい材料”は確実に存在している。最も大きいのが、今年のドラフト会議で、4球団競合のアマチュア球界ナンバーワン投手、金丸夢斗(関西大)を引き当てたことだ。
神戸市立神港橘高時代は全国的に無名だった金丸。関西大に進学すると、下級生で不動のエースに成長した。関西学生野球でリーグ戦18連勝、72イニング連続自責点0という華々しい成績を残した。今年3月には、侍ジャパントップチームの強化試合に召集され、欧州代表を相手に先発で2回をパーフェクト、4奪三振と圧巻のピッチングを披露した。
「今年はもちろん、ここ数年の大学生投手の中でも安定感は圧倒的にナンバーワンだと思いますね。とにかく投げミスが少ない。大事な場面でしっかりと厳しいコースに力のあるボールが来ます。高校生や大学生のピッチャーがプロに入ると、アマチュア野球より狭いストライクゾーンに戸惑うんですが、金丸については全く心配ないでしょう。また、相手打者や状況を見ながら、投げられますね。(中日の本拠地である)バンテリンドームは投手に有利な球場ですし、体調さえ問題なければ、いきなり二桁勝ってもおかしくないでしょう」(他球団の関西地区担当スカウト)
金丸と同じリーグで活躍した左腕の東克樹(立命館大→2017年DeNA1位)は、プロ1年目に11勝5敗で、2018年の新人王に輝いているが、大学時代の東と金丸を比べても、全ての面で金丸が上回っているのは間違いない。小笠原の抜けた穴を埋める左腕として、これ以上、頼もしい補強はないだろう。
好成績を残している中継ぎ陣
これに加えて、若きエース・高橋宏斗の成長が大きい。昨季までは凄いボールを投げながら、試合に勝ち切れない印象が強かったが、今年は12勝4敗と大きく勝ち越し、最優秀防御率のタイトルを獲得した。高橋が残した防御率1.38は、1936年に創立された中日の球団記録である。高橋、金丸という左右の若き両エースが確立できれば、チームが大型連敗する可能性が極めて低くなる。この2人は来年で23歳とまだまだ若く、今後、チームどころか、球界を代表する二枚看板となることも期待できる。
一方、リリーフ陣はどうか。仮にマルティネスが退団すれば、かなりの痛手ではあるが、それ以外にも強力な投手が揃っている。以下のように、今年の主なリリーフ投手の成績をまとめてみた。
清水達也(25歳):60試合3勝1敗1セーブ36ホールド 防御率1.40
松山晋也(24歳):59試合2勝3敗0セーブ41ホールド 防御率1.33
斎藤綱記(28歳):56試合4勝3敗0セーブ19ホールド 防御率2.09
藤嶋健人(26歳):50試合3勝3敗0セーブ14ホールド 防御率2.20
橋本侑樹(26歳):47試合3勝1敗0セーブ5ホールド 防御率1.73
※年齢は2024年の満年齢
これだけの好成績を残している中継ぎ陣が揃うチームはなかなかない。清水、松山、藤嶋が右投手、斎藤と橋本は左投手と、左右のバランスが良く、年齢も若いことも心強い限りだ。このほか、岩嵜翔や祖父江大輔らベテランや、上記の5人と同年代で実績がある梅野雄吾や勝野昌慶が控えている。仮に、マルティネスが退団しても、清水か松山を守護神に据えれば、ブルペンが大きく崩れる可能性は低いのではないか。
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