親の介護は妻に丸投げ、自分は絶賛不倫中… 「向き合うべきですか?」44歳夫の身勝手さ

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「身勝手だと思いますよ」

 家のことを妻に任せて、恭幸さんは今も智恵さんと会い続けている。数年たったが、智恵さんへの興味と関心は尽きることがなく、愛情がますます深まっていると彼はうれしそうに語った。妻の気持ちを考えると、なんとはなしに不愉快だった。そんな私の表情を見て取ったのだろう。

「身勝手だと思いますよ。自分の親を他人である妻に介護させて、家のことも娘のこともほとんど任せきりで、僕は外で恋愛してる。卑怯だとも思うし、妻が知ったら苦しむとも思う。でもしかたがないんですよ。僕から智恵と別れることなんてできない。彼女は僕の生活、いや、人生の唯一の“光”なんです。こういう言い方が、たぶん、世の中の妻たちの反感を煽ると思うけど」

 わかっちゃいるけどやめられないということなのだろう。ただ、恭幸さんは一貫して、家族と真正面から向き合おうとしていない。親とも妻とも娘とも。

「向き合うことってそんなに重要ですかね。向き合ったために壊れるものもあるんじゃないかと僕は思う。向き合わずにいたほうがうまくいくこともある。親子とか夫婦とか、ある種の枠にはめられた関係は、真剣になりすぎないほうがいい。そんな気がするんです」

 智恵さんとは他人の関係、だからこそ真剣になる必要がある。恭幸さんは、そう真顔で語った。そういう考え方に賛同はしづらいが、なんとなくわからないでもない。最後は煙に巻かれたような気分だった。

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 振り返れば、娘の誕生時から恭幸さんはどこか他人事だった。【前編】では彼の生い立ち、そして一家が同居を始めるに至った経緯を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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