「薬漬けから抜け出すために必要なことは…」 薬を使わない薬剤師が明かす「薬の減らし方」

ドクター新潮 ライフ

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取り組むべきは薬の服用ではなく……

 骨粗鬆症に関しても、骨密度の低下そのものは自然な老化現象であり病気ではありません。骨粗鬆症が問題なのは、転倒して骨折し、寝たきりなどにつながってしまうことです。要は転倒を防ぐことが重要なのです。

 では、骨がスカスカだから転ぶのでしょうか。そうではありません。筋肉が衰えているから転倒しやすくなるのです。つまり、骨密度を上げる薬を飲んだからといって転倒は防げない。そうであるならば、骨粗鬆症の人が最も取り組むべきなのは、薬の服用ではなく、筋肉をつけることです。そして、最も簡単な筋トレこそがウォーキングなのです。

 とはいえ、薬をいきなり「止める」のは危険です。明らかにまずい状態なのであれば、高血圧の場合、数値を下げつつ生活習慣を改めることが重要です。この「つつ」にあたるのが薬なのですが、薬を飲んで数値が下がると、つい「治った」と勘違いしてしまう。生活習慣病の原因は「外」ではなく「内」にあるのですから、生活習慣が変わっていないのに「治る」はずがないことを、私たちはいま一度理解すべきです。

「若く見られたいとは思わない」

 また、薬剤師の立場から大きな声では言えませんが、自分の体調を見ながら、服用する錠剤の数を減らすのも一つの手です。4錠飲んでいた薬を3錠に減らしてみて、体調に問題がなければ2錠に減らす。処方された通りの量を飲まないなんてとんでもないと怒られそうですが、薬のおかげで数値が改善したのか、生活習慣を改めたことによって良くなったのか、あるいは両方の結果なのかは誰にも分かりません。

 薬だけのおかげというのであれば、一生飲み続けなければならないという理屈になってしまいますから、少しずつ服薬量を減らして、病気が治りつつあるのか、それとも薬で症状を抑えているだけなのかを確かめてみるのは悪いことではないでしょう。

 最後に再度、老化についてお話ししたいと思います。

 女性に年齢を聞くのは失礼だといいます。私にはこの発想がよく理解できません。どうして、その人が何歳であるかを尋ねてはいけないのでしょうか。おかげさまで、「0錠生活」を送れている私は、65歳を迎えたいまもすこぶる快調で、知人から「実年齢よりも若く見えるから、本当の年を言わないほうがいい」とアドバイスされます。

 でも、私自身は若く見られたいとは全く思っていません。年を取っているということは、それだけ長く生きてきた証しであり、誇りです。この年になれば、亡くなる同世代の人が増えてきますから、命を頂いていることがなお一層ありがたく思えます。

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