「薬漬けから抜け出すために必要なことは…」 薬を使わない薬剤師が明かす「薬の減らし方」

ドクター新潮 ライフ

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老化は本当に病気?

 運動をはじめ、食品添加物を取らないようにするといった食生活の改善を含めた具体的な実践術以外に、減薬の実現に必要なのは「哲学」です。何も小難しい話をしようとしているのではなく、病気をどう捉えるかという問題です。

 超高齢社会にあって、「老化」は忌み嫌われているようです。その結果、老化は病気であり、治療すべき対象として考えられている風潮が感じられます。でも、老化は本当に病気なのでしょうか。

 高血圧も、高コレステロール血症も生活習慣病はほぼ、また骨粗鬆症も「老化現象」といえます。年を重ねればピチピチしていた血管が硬くなる分、血流をよくしようと血圧が高くなる。コレステロールのバランスを保つ機能を果たす女性ホルモンのエストロゲンが、閉経などによって低下すればコレステロール値は上がり、また加齢とともに骨は脆くなる。どれも当たり前の現象です。自然の摂理であるこの老化現象を、病気と捉えることによって過剰な薬の服用が始まるのです。血圧などが基準値を超えているから病気である、と。

降圧剤が他の病気を誘発する問題

 しかし、本人が不調を自覚しているわけではないのに、基準値をはみ出しているからというだけで病気扱いする必要が果たしてあるのでしょうか。

 もちろん、明らかに体調に影響を及ぼしていて薬が不可欠な場合もあるでしょうが、さまざまな数値が悪くても本人は至って健康という場合に、数値が悪いからという理由で一律に薬を用いるべきではないと私は思うのです。繰り返しになりますが、加齢による数値の悪化は自然な老化現象であり、それ自体は病気ではないと考えるからです。

 例えば、降圧剤を飲めば血圧は下げられます。一方で、降圧剤で血管を広げてしまうと、当然のことながら血液が体全体に行き渡りにくくなり、だるさや、しびれ、肩こりなどを引き起こす可能性があります。自覚症状なき高血圧に対して降圧剤を使い、だるさなどを抱えてしまうことのほうが、れっきとした「病気」なのではないかと思うのです。また、降圧剤によって脳に血液が十分に流れなくなり、認知症やうつ状態、脳梗塞さえも誘発しているのではないかということも最近は問題視されています。

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