「薬漬けから抜け出すために必要なことは…」 薬を使わない薬剤師が明かす「薬の減らし方」

ドクター新潮 ライフ

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正のドミノ現象

 では、どう歩けばいいのか。腕を「前後に振る」のではなく、肘を曲げて腕を「後ろに引く」ことを意識してください。すると、必然的に体の重心が後ろに下がって、胸が開けて肺が広がり、ゆったりとして呼吸ができる上に、「良い姿勢」になるので血流も良くなります。実際にやってみると、「前後に振る」のと「後ろに引く」では、歩き方がかなり変わってくることが実感できるはずです。

 私自身の話に戻すと、歩き方を習って生活習慣病の患者さんに教えているうちに、いつの間にか自分の体調も良くなっていました。頸椎のずれそのものの治療はしていませんから、ウォーキングをすることによって姿勢が改善され、また筋肉がついたことで頸椎のずれをサポートできるようになった結果、症状が改善したのだと思います。

 痛みがなくなれば痛み止めを飲む必要がなくなり、筋弛緩剤も要らなくなって、胃薬も飲まなくなり……と「正のドミノ現象」が起き、15年ほど前から私は薬0錠の生活を送れるようになったのです。まさに〈1に運動〉の効果を身をもって実感することができたわけです。

症状が薬で急に良くなるのは「異常」

 何事も継続が大切ですが、ウォーキングをして体調が改善していくと、「成果」が味わえるので歩くこと自体が楽しみに変わり、それが継続のモチベーションになります。

 そもそも、生活習慣病をもたらす健康的ではない生活習慣は、10年、20年にわたって継続されてきたものですから、1週間かそこら生活習慣を変えたところで、症状が改善されるわけがありません。厳しい言い方になりますが、楽をして病気を治そうという考え方自体が間違っているように私には思えます。

 そう考えると、10年、20年続いてきた症状が、薬を飲んでパタッと良くなるのも明らかに「異常」です。症状を抑えられる代わりに、体に相当の負担がかかっているのは間違いありません。ですから、薬の量はできるだけ減らしたほうがいいわけです。

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