「薬漬けから抜け出すために必要なことは…」 薬を使わない薬剤師が明かす「薬の減らし方」

ドクター新潮 ライフ

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薬を飲んでも生活習慣病は治らない

 生活習慣病を患っているために複数の薬を飲んでいて、年々、薬の種類が増えていく患者さんの姿を、薬剤師の立場から私は多く目にしてきました。本当にこれでいいのだろうかと考えさせられていた時に、〈1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後に薬〉という厚生労働省が掲げているスローガンが目に留まり、改めてまずは運動が大事なのだと気付いたのです。そこで、患者さんに指導できるように、まずは自ら運動を始めてみようと考えました。

 感染症であればウイルスや細菌、交通事故であれば車やバイクといった具合に、その原因は自分の「外」にあります。他方、慢性病である生活習慣病の原因はどこにあるか。文字通り生活習慣、自らのライフスタイルにあります。つまり、原因は自分の「内」にあるのです。従って、いくら薬を飲んだところで生活習慣病は治りません。薬によって「内」にある生活習慣が変わるわけではないからです。

「腕を大きく振って歩く」は間違い

 生活習慣を変える第一歩は、〈1に運動〉とある通りに体を動かすことです。そして、運動の基本は歩くことです。こうして私はウォーキング教室に通うことにしたのです。

 わざわざ教室に通わなくてもいいのに、なんと大げさな。そう感じる人もいると思います。しかし、教室に通うことで、ウォーキングは「量」以上に「質」が肝心だという大事な点に気付くことができたのです。

 いま目の前に週刊新潮の記者さんがいます。そこで試しに、「ウォーキングしてください」と言ってみました。多くの人がそうするように、この記者さんも一生懸命に腕を振り、真面目に頑張って歩いてくれています。

 でも、残念。頑張ってはいるものの、「正しいウォーキング」にはなっていません。なぜなら、腕を振ろうと意識し過ぎて、前後に大きく腕を動かしてしまっているからです。腕を大きく振ると、特に猫背の人は腕を前に振った瞬間に重心が前に傾き、より猫背になってしまうのです。

 猫背の姿勢だと、肺を圧迫した体勢で歩くことになります。すると呼吸が浅くなり、脈が速くなってしまいます。同時に、猫背の姿勢では血流が悪くなるので、無理して血液の流れを良くしようとして血圧も上がります。生活習慣病の代表格である高血圧を改善するためにウォーキングを始めて、血圧が上がってしまっては元も子もありません。

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