マツキヨはまさかの「メガネ拭き」で勝負 韓国と火花散らす「日本企業」のベトナム戦略

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「メイド・イン・ベトナム」が安かろう悪かろうのイメージだったのは昔のこと。現在では、高品質かつ低コストでの製造が可能な生産地として世界中の注目を集めるほか、消費市場としても、人口増と若年層の厚さから高い成長性を秘めているという。近年は日本企業も多く進出しているが、そこには数々の工夫が……。消費経済アナリストの渡辺広明氏がレポートする。

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 先日、10年ぶりにベトナムのホーチミンを訪問した。

 筆者が当地を訪れるのは4回目である。初めて訪れたのは、ローソンのバイヤーだった20年前。当時、生産地の中国依存が問題視されており、“チャイナプラスワン”というフレーズのもと、リスク分散のための代替の生産地が求められていた。その候補がベトナムだったのだ。

 バイヤーをしていた私は、グンゼ、フジボウアパレル、親会社である三菱商事の繊維事業部と連動し、靴下やTシャツ、パンツなどの生産拠点をベトナムへ移管した。ベトナム出張はその工場の確認のためだった。

 20年前はホーチミンの街中を走るのはバイクと自転車ばかりで、車を見かけることは稀だった。経済的な発展はまだこれから、という印象を受けた。

 次にベトナムを訪れたのはその10年後、転職しエステ大手グループのTBCにいた頃である。現地の大手フィットネスジムから提携を求められており、その視察と商談が目的だった(結局実現はしなかった)。その時は、フィットネスジムのニーズが高まるほどの社会になっていたから、当然、経済発展が加速していた。街中では、バイクや自転車以外に、車もそこそこ見るようになっていた。

 その際、今後の車社会の到来で予測される渋滞問題を見据え、大規模な地下鉄工事が始まっていた。当時は「2年後に完成する」と言われていたが、そこから12年も延び、今年の12月ごろに開通予定だという。今回、ベトナムを訪れてまだできていなかったことに驚いた。

工場で見たスゴい帽子

 20年前は生産拠点としてベトナムは注目されていた。低賃金と大量生産を武器に、アパレルを中心に「お求めやすい価格」の立役者だったわけだが、今ではその姿は変化を遂げつつある。

 ホーチミン郊外の帽子工場「ビナスターハット」の女性社長、ホンさんはこう言う。

「昔はベトナムの帽子製造は、1万個や3万個の比較的大量のロットで商品を作ってきた。しかし、今は500個~2,000個の価値ある帽子を作る方向性にシフトしていっています」

 ホンさんの工場で製造工程を見せてもらった。手がけていたのは日本のカメラ関連グッズメーカー「MOUTH」の帽子。写真を撮る時に邪魔にならないよう、ワイヤーが入ったツバを自由自在に曲げられる商品で、日本のカメラ関係者の間では人気になっているそうだ。また、大阪万博に向け、50年前のチューリップハットの進化系なども試作していた。

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