楽天「25億円返還」で田中将大(36)放出に“球団売却”の予兆 長期保有に疑問符、「200勝目前」で見限ったのは球団ではなく
前日の「ファン感」では意志が固まっていたか
球界に激震が走った。プロ野球楽天の田中将大投手(36)が11月24日夕に自身のYouTubeチャンネルで「楽天イーグルスと来季の契約を結ばずに新たなチームを探すことに決めた」と明かしたのだ。スポーツメディアによると、石井一久シニアディレクター(SD)が交渉で今季年俸2億6000万円(金額は推定)から減額制限(年俸1億円超は40%)を超えるダウン提示をしたものの、これを田中が受け入れなかった。本人の同意がない場合、同30日に提出予定の保留選手名簿に載せられないという野球協約に則り、自由契約となる運びとなった。
【写真】多くのファンに向けて“楽天退団”を表明するマー君。マウンドでの気合いの入った表情とは違い、終始、緊張した面持ちだった
2013年に24勝0敗と神懸かり的な成績を残し、球団史上初の日本一に導いたチームの顔の電撃的な退団。しかも日米通算200勝まであと3勝に迫っているだけに、チーム内外に衝撃を与えると同時に、親会社には球団売却に向けた予兆との見方が出ている。
田中は前日の23日のファン感謝イベントで、不振に終わった今季からの巻き返しを誓ったばかりだった。
「本当に何もできなかったので、とにかく、来年1軍の舞台に立てるように頑張っていきます」
その“1軍の舞台”に他球団で立つ意志は、既にこの時、固まっていたのか。最後の楽天のユニホーム姿をファンに披露し、けじめをつけた形での重大事の公表となった。
田中は今季、昨オフの右肘のクリーニング手術の影響で登板わずか1試合、日米通算プロ18年目にして初のシーズン未勝利に終わった。今季年俸は浅村栄斗内野手の5億円、則本昂大投手の3億円に続き、チーム3番目の高額だったと推定されている。来季契約の交渉では日本シリーズが終了する段階で大幅減俸の提示を受けていたという。
減額制限を超える提示は2年連続だった。米大リーグから楽天に復帰した21年に9億円だった年俸は、今回の球団提示を飲めば、多くても1億6000万円ほどになっていたことになる。短期間での急落ぶりは田中にしてみれば、戦力として本当に必要とされているのかと球団への信頼感が揺らぐものだったに違いない。
自由契約は球団のせめてものリスペクト
「マー君は海外FA(フリーエージェント)権を持っています。日本シリーズ後に行使することは可能だったはずですが、人的補償や金銭補償が伴うAランク(外国人選手を除き、年俸で上位3人)のため獲得球団のハードルは高く、今のマー君の力では国内他球団への移籍は難しくなっていたと思います。移籍先が見つかりやすい自由契約にすることが球団のマー君に対する、せめてものリスペクトだったのではないでしょうか」(在京球団編成担当)
「しっかりと成績を出せた人、出せなかった人は判断しないといけない」と田中を特別扱いしなかったことを示唆した石井SDの言葉は、選手間のバランスという意味で正当性を帯びる一方、田中は球団史上随一の功労者だ。
「マー君の契約ですから石井SD一人が決めたのではなく、三木谷(浩史)オーナーが絡んでいることは間違いないでしょう。オーナーの鶴の一声で、歩み寄ることはできたはずです。しかし、それをあえてしなかったのか、できなかったのか。いずれにしても是が非でも球団初の200勝投手の誕生を待とうとしなかったことは確かですね。前代未聞のケースでしょう」(楽天の元首脳陣の一人)
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