戦力外から心機一転、新天地で大活躍! プロアマ問わず輝いた“リストラの星”な選手たち
プロ野球もシーズンオフに突入し、来シーズンに向けての話題が増える時期となった。そんな中、ファンの間で注目が集まっているのが戦力外通告を受けた選手たちの去就だ。11月14日にはQVCマリンフィールドで12球団合同トライアウトが行われ、現役続行を目指す選手たちが必死のアピールを見せたが、毎年ここから再契約をつかめる選手はわずかであり、今年限りの開催となる可能性が高いとも言われている。【西尾典文/野球ライター】
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初のセ・リーグで113試合に出場
一度戦力外となりながら、プレーヤーとして“再就職先”を見つけるのは簡単なことではないが、他球団で現役を続行して活躍を見せている選手がいることも確かだ。
昨年オフに戦力外となりながらも、今年活躍した選手の代表例と言えば、西川遥輝(ヤクルト)になるだろう。日本ハムでは4度の盗塁王に輝くなどリードオフマンとして活躍したが、2021年オフに自由契約となり楽天に移籍。
しかし、昨年は打率1割台と低迷して自身2度目となる自由契約を通告され、ヤクルトに入団した。初のセ・リーグでのプレーとなったが、開幕から外野のバックアップ要員として一軍に定着。最終的に113試合の出場で80安打、10盗塁、打率.260、出塁率.350と一軍の戦力として十分な成績を残した。チームは大ベテランの青木宣親と貴重な外野の戦力だった山崎晃太朗が揃って今シーズン限りで引退したほか、31歳の塩見泰隆も怪我に苦しんでいる。それだけに、西川の存在感は増している。来年も外野の一角として寄せられる期待は大きい。
スタメンの固まっていないチームでじわじわと存在感を高める選手
同じ野手では、ともに阪神を自由契約となって中日に移籍した山本泰寛と板山祐太郎が存在感を示した。山本は開幕一軍を勝ち取ると、5月10日の広島戦では2年ぶりのホームランを放つなど好調をキープ。夏場に成績を落として一度登録抹消となったが、すぐに一軍に復帰し、二遊間のバックアップとして79試合に出場して打率.250という成績を残した。チームの内野陣は若手が多い。山本の堅実なプレーは貴重だ。
一方の板山は、育成選手で入団した。二軍で結果を残して5月5日に支配下登録されると同時に一軍へ昇格。6月にはスタメン出場を増やし、3度の1試合3安打を記録するなど見事な活躍を見せた。山本と同様に夏場以降は成績を落としたものの、65試合出場、42安打、3本塁打、13打点はいずれもキャリアハイの数字である。山本と板山の活躍について、球団関係者はこう話す。
「山本は、やはり守備という強みがあるのが大きいですね。派手なプレーをするわけではありませんが、堅実で見ている側からすると安心感がありますね。巨人や阪神という注目度が高い球団でプレーしてきたこともあってか、堂々としていますし、周囲の選手ともよくコミュニケーションをとっているようです。板山は(大学野球の名門)亜細亜大出身らしく、とにかく気持ちが強いですし、何でもやるという姿勢がいいですよね。もともとは外野手ですが、今年はセカンドで多く出場していいプレーを見せていました。2人とも首脳陣にとってはベンチにいてくれるとありがたいタイプの選手だと思いますね」
レギュラーがある程度固定されている阪神ではなかなか出番はなくても、中日のような流動的なポジションが多いチームだけに、彼らがフィットする部分も大きかったと言えそうだ。
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