「海に眠るダイヤモンド」Netflix並みの大迫力なのに視聴率は“ワースト更新”危機の理由

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強いメッセージ性

 歌舞伎町を舞台にホストが登場する元気なドラマといえば、宮藤官九郎ことクドカンが脚本を手掛けた今年7月期のフジテレビ系「新宿野戦病院」を思い出すが、「海に~」に登場するホストの玲央は売掛金の回収ができず夢も希望もない。そんな玲央と1950年代の長崎県・端島の炭鉱で一生懸命働く鉄平を神木が巧みに演じ分けているのも大きな見どころなのだが…。

「『海の~』が最近の日本ドラマのチープさを吹き飛ばす渾身の作品であるのは間違いありません。一部で批判が出ていた朝子(杉咲花)、百合子、リナの確執や鉄平と朝子の恋の因縁も第4話では伏線がきれいに回収されました。百合子が和尚(さだまさし)に神の存在を問い詰める問答、そして母・百合子の死が長崎に投下された原爆に繋がっているという展開に制作陣の平和への思いが強く込められていて、最近では珍しい強いメッセージ性がこのドラマの価値を高めているように思いますね」(前出の放送ライター)

 ただ、そこには難しい現実的な課題も横たわっているという。TBS関係者は近年常態化しているテレビ番組とSNSの連動を踏まえてこう解説する。

「日曜劇場では堺雅人主演『VIVANT』や今年4月期の長谷川博己主演『アンチヒーロー』、前クールの嵐・二宮和也主演『ブラックペアン シーズン2』などが大きな話題をさらいました。成功の理由のひとつがSNS利用です。

 思わず考察したくなるような謎、例えば『VIVANT』なら誰が別班なのか、『アンチヒーロー』なら登場人物の名前に含まれる色の意味などを劇中のあちこちに埋め込むことで話題性を作り、関心を持った視聴者が自身の考察をXなどネットに投稿。それを見た別のXユーザーがさらに考察を重ねて拡散することで二重にも三重にも盛り上がっていきました。

 一方、『海に~』は過去と未来を行ったり来たりする大胆な構成を採用し、細かい作り込みに相当の予算をかけていて完成度が高いのですが、その分ツッコミどころが少ない。宮本信子演じるいづみの正体は誰なのか以外のポイントでは、それほどSNSは盛り上がっていません。

 若者層のバロメーターとなるTVerのお気に入り数は、放送回数が他作品に比べ少ないこともありますが、20日時点で87万人と、フジテレビ系『わたしの宝物』(木曜午後10時)の111.5万、TBS系『ライオンの隠れ家』(金曜午後10時)の101.8万に水をあけられています」

 過去、日曜劇場の平均世帯視聴率のワースト1位は、2014年10月期放送の錦戸亮主演「ごめんね青春!」の7.7%だった。「海に眠るダイヤモンド」はそれを下回る危険水域に入っていくのか――。

デイリー新潮編集部

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